瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(15)

・角川文庫13390(3)
 3月23日付(06)に貼付したAmazonの書影が手拭い柄になっていることは8月に気付いて注記して置いたが、その本を見ることが出来たので、ここにメモして置く。
 それから本体についても、4月4日付(07)には193頁の注までしか記述していなかったから、残りの部分もここに補って置く。

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改版十五版】昭和三十年一月三十日初版発行・平成十六年五月二十五日改版初版発行・平成二十四年八月二十日改版十五版発行・定価286円・223頁
 比較のため平成16年(2004)の【改版初版】と、平成3年(1991)の【改版六十六版】も借りて置いた。
 カバーは橙色地で柄は淡い橙色が染みた白。上部にカバー裏表紙折返しから裏表紙・背表紙・背表紙の右上まで、長方形の白紙を載せたようになっていて、表紙の右上、白の長方形の左端に当たる部分(8.0×3.0cm)、右上に著者名、右下に小さく「角川文庫」、その左に大きく標題が明朝体で入る。
 表紙折返しは11月6日付「夏目漱石『こゝろ』の文庫本(5)」に挙げたものに同じ。
 裏表紙折返しの上部、右に示した『こゝろ』改版二十七版では11点並んでいたが、8点に減っている。すなわち『こゝろ』の4つめの「虞美人草」8つめ「行人」10番め「道草」の3つがなくなっている。してみると『こゝろ』改版二十七版のカバーは今年新たに作られたものではなく、昨年のものを流用(残っていたものを使ったか、版を改めずに刷り増ししたものかは不明)したのであろう。『坊っちゃん』は昨年は手拭い柄カバーではなく今年新たに作ったのだから、この8点は今年の在庫状況を反映したものとなっているはずである。それから裏表紙折返しの下部、1.2×5.5cmの長方形に白くして「装画 てぬぐい tanzaku(株式会社かまわぬ)/   ©KAMAWANU CO.,LTD.All Right Reserved/装丁 大武尚貴+鈴木久美(角川書店装丁室)」とある。
 裏表紙の右上、明朝体縦組み8行(1行25字)の紹介文があるが、これは改版初版のカバーの裏表紙中央にあったゴシック体縦組み14行(1行14字)の紹介文を書き換えたものである。
 異同を示すと、まず1〜3行め「生まれつき乱暴でいたずらが過/ぎ、両親にかわいがられなかっ/た坊っちゃん。唯一、細やかに/」→1〜2行め「負けん気が強く、いたずらが過ぎたために両親から可/愛がられなかった“坊っちゃん”。学校を卒業し、唯一、/」、4〜6行め「面倒を見てくれた下女の清と離/れ、一人で四国の中学校に赴任/した。」→3〜4行め「面倒を見てくれた清と離れ、一人で四国の中学校に赴任/する。」*1、6〜9行め「しかし、江戸っ子で生一/本、無鉄砲に育ってきたせいで、/田舎での生活は我慢ならないこ/とばかり。」→4〜5行め「しかし、田舎での生活は江戸っ子気質の坊っちゃ/んには我慢できないことばかり。」、9〜10行め「同僚教師との衝突に、/東京へ帰ることも辞さないが…。/」→5〜7行め「教え子からの嫌がらせ/や事なかれ主義の教頭たち。さらには、意気投合した同/僚の“山嵐”が辞職に追い込まれたことを知り……。」、11〜14行め「波瀾万丈の日々をユーモアたっ/ぷりに描く、不朽の名作。解説、/年譜のほか、本書の内容がすぐ/にわかる〈あらすじ〉つき。 」→7〜8行め「波/瀾万丈の日々をユーモアたっぷりに描く、不朽の名作。」。
 左上にバーコード2つは改版初版と一致、その下に13桁のISBNコード/Cコードに「\286E」/「定価:本体286円(税別)」。改版初版はISBNコードが10桁で、かつ下1桁が「-8」だったのが「-9」に変わっている。
 背表紙は「な 1-2 夏目漱石   坊っちゃん」とやはり明朝体。背表紙の下部、手拭い柄の上に明朝体で小さく「角川文庫」とあるが本書は柄と紛れても読みやすい。(以下続稿)

*1:ここの「清」にのみ、改版初版も改版十五版もルビ「きよ」が附されている。