瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

芥川龍之介『羅生門』の文庫本(3)

・角川文庫14718『羅生門・鼻・芋粥』(3)
 次に裏表紙だが、左上のバーコード2つ、ISBNコード13桁、Cコードに「\362E」、「定価本体362円(税別)」は一致、右上の14行(1行14字)の紹介文も同文だが、10行めが「/18編を収録。人間の孤独と侘/」であったのが【改版再版】では「/18編を収録。人間の孤独と侘し/」と数字を半角にしてことで以下1字ずつ詰まっている。
 表紙折返しの異同も大体同じ理由で、ゴシック体の紹介文の最初の一文、【改版初版】は「明治25年(1892)3月1日、東京生/まれ。」と2行に跨っていたのが【改版再版】は「明治25年(1892)3月1日、東京生まれ。/」と1行に収まっている。この他にも6〜7行め「……第三次「新思潮」を発刊。大正/5年(1916)に発表した「鼻」が……」→5〜7行め「…第/三・四次「新思潮」を発刊。大正5年/(1916)に発表した「鼻」が……」、19〜20行め「……。昭和2年(1927)/7月24日、……」→19行め「……。昭和2年(1927)7月24日、/」、【改版初版】は22行だった(22行めは「の一生」など。」)が【改版再版】はきっちり21行に収めている。下部左寄せの横組みゴシック体「カバー天野喜孝」も【改版再版】の方が一回り小さい文字になっている。
 裏表紙折返し、上部にゴシック体横組みで「角川文庫|芥川龍之介の本 ||」とあって「舞踏会・蜜柑/杜子春南京の基督/藪の中・将軍/トロッコ・一塊の土/或阿呆の一生侏儒の言葉羅生門・鼻・芋粥蜘蛛の糸地獄変」の7点に1行空けて【改版初版】は「ビギナーズ・クラシックス 近代文学芥川龍之介の「羅生門」「河童」ほか6編(角川ソフィア文庫)」とあった(最後のレーベル名は右寄せ)が、【改版再版】では「(角川ソフィア文庫)ビギナーズ・クラシックス 近代文学芥川龍之介の「羅生門」「河童」ほか6編/」とある(2〜3行めは詰まる)。右下にKBマークがあるのは同じだが、【改版初版】には最下部左寄りに「カバー 泉文社 R」Rは◇で囲われている。
 しかしこのカバーが変わった時期にはなお疑問があって、【改版初版】と【改版再版】でQRコードのないカバーがかかっているのを見た訳だが、私の見た【改版再版】には栞(12.5×4.5cm)があって、これが10月28日付「夏目漱石『こゝろ』の文庫本(2)」に触れた、私の見た角川文庫13391『こゝろ』改版十六版に挟まれていたのと同様の、「ハッケンくん」の3コマ漫画(?)の栞で、1コマめが蟹とハッケンくん、2コマめは蟹の鋏に「」の形をした鼻を挟まれ、そして3コマめは1コマめと同じ構図だが赤い鼻が倍くらいの大きさになっている。但しハッケンくんは1コマめで蟹を見ているものの、2〜3コマめでは驚いたような目つきをしているだけで痛がっているようには見えない。裏は黄緑色に白抜きゴシック体縦組みで「どれ、その鼻の上、/ちょんぎってやろうかい。」下部に横組みで大きく「発見!/角川文庫/2010」とある。それはともかく平成20年(2008)5月の【改版再版】に平成22年(2010)のフェアの栞が挟まれているのを見ると、このQRコードのなくなったカバーは【改版再版】よりももっと新しい時期のものである可能性も、一応考えて置かないといけないのかも知れぬ。……そんなことを考えてWikipediaの「角川文庫」を見たら「1999年4月から2008年2月までの新刊及び重版には、背表紙の整理番号の上にマイクロQRコードがあった。」とあった*1。従って【改版再版】は最初からこのカバーで、【改版初版】のQRコードのないカバーは掛け替えたものと見て、良さそうだ。
 本体についてはこの前の版と比較しつつ述べることとしたい。(以下続稿)

*1:この書き方だと最上部にあることが分からない。