瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

芥川龍之介『羅生門』の文庫本(6)

・角川文庫7499『羅生門・鼻・芋粥』(3)
 次に、今手許にある【再版】【十二版】【十六版】【十七版】について、奥付から後の比較をして置く。
 まず奥付だが、レイアウトは同じで、単郭の内、上部に子持枠があってその中の上部に横組みで標題と著者名「羅生門・鼻・芋粥芥川龍之介*1がある。【再版】のみ標題の上に「改編」とある。下部に羽を加え翼を拡げた鳳凰に「角川文庫 7499」。子持枠の下に縦組みで初版発行日とそれぞれの版の発行日、ついで発行者は【十二版】は角川春樹で【十六版】は角川歴彦角川春樹は平成5年(1993)8月に逮捕されている。発行所の住所は同じ、電話〈編集部/営業部〉は【再版】の段階ではまだ(〇三)の次に「三」がない番号である。ついで1行で〒番号(3桁)と振替番号が並ぶが、【十六版】までは「振替東京③」に漢数字6桁だったのが、【十七版】で「振替〇〇一三〇―九―」に漢数字6桁に変わっている。次の行「印刷所――旭印刷」は同じだがその下の「製本所――」が【再版】【十七版】は「本間製本」、【十二版】は「多摩文庫」、【十六版】は「千曲堂」である。その後に【再版】は「乱丁・落丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」若干空いて縦組み=横転して「Printed in Japan」とあったのが、【十二版】【十六版】【十七版】は「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛に/お送りください。送料は小社負担でお取り替えいたします。」若干空いて「 定価はカバーに明記してあります。」と横長の文字で入っており、匡郭の下辺の右側上に「©Printed in Japan」と横組みで入っている。この下辺の下(外側)の左端に「あ 2-6」、右寄りにISBNコードとCコードがあるのは同じ。
 この奥付の裏は角川源義「角川文庫発刊に際して」で同版に見える。【再版】はここまで。【十二版】は1頁6点の「角川文庫ベストセラー」が8頁。【十六版】と【十七版】は明朝体で「角川文庫の名作」と題する縦2段組の目録だが、ゴシック体の副題が【十六版】「語り継がれる一冊がある。」が【十七版】では「語り継ぎたい一冊がある。」に変わっている。枠も【十六版】は太線の角切枠だったのが、【十七版】は子持枠(但し太線の方が内側)であり、2頁め以降が12点であるのは同じだが、1頁めが【十六版】は右の枠外に題が入って上3点、下4点であったのが、【十七版】は右上の枠外に題を入れて上3点下6点を収めている。ともに8頁で重複も多いが配列は一致していない。本書は【十六版】は1頁め下段の2点めに夏目漱石こゝろ』の次に見えるが、【十七版】では1頁め下段の6点め、有島武郎一房の葡萄』の次に出ている。(以下続稿)

*1:ルビ「らしようもん はな いもがゆ/あくたがわりゆうのすけ」。