瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

柳田國男『日本の昔話』の文庫本(6)

・角川文庫553(4)
 扉、改訂版二十四版は古い形式で9.8×6.4cmの双郭、角は切れている。上部に横組みで「改訂版/日本の昔話」少し下に著者名、下部に右向きで翼を拡げ脚を閉じた鳳凰、その下に「角川文庫/553」とある。改訂版三十五版は11.4×7.4cmの単郭の上部に4.5×4.8cmの子持枠の内部に横組みで丸ゴシック体で「改訂版」その下に明朝体で標題、その下に明朝体で「柳田国男」、下部に左向きで翼と脚を拡げ羽を銜えた鳳凰、その下に漢字は丸ゴシック体で「角川文庫 553」とある。
 本文が1頁17行、1行43字で組まれているのは同じだが、印字面が改訂版二十四版は11.2×7.2cm、改訂版三十五版は11.9×7.5cm。もちろん組み直されているのだが、3〜9頁の「昭和三十五年版の序」では異同は、8頁15行め、改訂版二十四版「沖繩」が改訂版三十五版では「沖縄」となっているだけで、字配りなども一致している。
 11〜18頁「目次」は1頁15行、印字面が改訂版二十四版は8.3×6.8cm、改訂版三十五版は8.7×6.7cm。上部に半角で漢数字の整理番号、1字分空けて題、下部に半角漢数字で頁。最後の「あとがき」が、改訂版三十五版では下部の「丸山 久子/石原 綏代」の間に位置しているが、改訂版二十四版では「丸山 久子」の上に位置している。その下の頁「一八七」は改訂版二十四版も間に位置している。
 19頁、中扉「日本の昔話」。
 21頁、日本地図が示される。匡郭は改訂版二十四版は10.6×6.8cm、改訂版三十五版は11.3×7.3cm。左上の枠内に横組みで「日本の昔話分布図無印は旧版のものを残した分、○印は増補分、数字は話の整理番号。」とある。枠の大きさは改訂版二十四版1.1×3.2cmで題は手書き、読点の1つめは半角。改訂版三十五版では1.5×3.9cm。図は同じ構図で、北を少し左に傾けて、本州から九州までを収める。地名の記入はない。北海道の話は収録されないが図には渡島半島が入っており、改訂版二十五版は奥尻島の南部も含まれるが改訂版三十五版には見えない。伊豆諸島は御蔵島まで。改訂版二十四版には種子島屋久島の北東岸が入っていたが、改訂版三十五版には屋久島は見えず、代わりに黒島・硫黄島竹島馬毛島が見える。また右下に別枠で薩摩半島大隅半島の南部から与論島までが示されるが、改訂版二十四版では種子島屋久島に、吐噶喇列島は3つしか記載されていないが、改訂版三十五版では黒島・硫黄島竹島馬毛島・口之永良部島に、吐噶喇列島無人島を含め記載があり、やはり収録されていない沖縄県*1の北端の硫黄鳥島*2も記載されている。どうも改訂版三十五版は県境の点線などを見ても既成の白地図を利用しているらしいのだが、改訂版二十五版は手書きのようで、県境の点線も不安定で、千葉県と茨城県の県境がない*3。改訂版二十五版には湖は八郎潟霞ヶ浦と琵琶湖が記入され、琵琶湖にのみ湖面に波紋状に2つの線が引かれているが、改訂版三十五版にはない。また、八郎潟もなくなっている。
 異同としては岩手県の改訂二十四版「78」が改訂三十五版「73」となっているが、○に囲まれた「73」すなわち増補分が埼玉県にあるので、これは改訂版三十五版の誤りである。
 こうしたところからして、改訂版二十四版は八郎潟干拓工事の最中の昭和35年(1960)5月改訂版そのままの増刷で、その後写真植字により組み直したものが改訂版三十五版なのであろう。(以下続稿)

*1:返還前だからか、それとも別に考えがあって省いたか。

*2:この島のことは2011年4月4日付「Henry Schliemann “La Chine et le Japon au temps présent”(05)」に取り上げたことがある。

*3:所謂「ちばらぎ」になっている。