瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『こゝろ』の文庫本(10)

・角川文庫(7)
 角川文庫235の九十六版の本体について、適宜一八八版と比較しつつ、記述して置く。
 1頁(頁付なし)扉は双郭(10.1×6.3cm)内の上部に横組みで標題/著者名、下部に右向きの翼を広げ脚を揃えた鳳凰、その下に「角川文庫/235」とある。一八八版は現行の形式、鳳凰はほぼ同じものを反転させて左向きにしている。
 3頁「目次」の印字面は8.5×5.0cmで横幅が狭く6行、これが一八八版では9行になっている。すなわち一八八版の6〜9行め「解説/夏目漱石―人と文学  宮井一郎 二七九/作品解説  吉田精一 二八八/年譜    二九二」であるのに対し、九十六版は6行め「解説  吉田精一 二六八」のみである(どちらも漢数字は半角)。
 5頁(頁付なし)「初版本「こゝろ」の扉」の図版。
 7頁(頁付なし)中扉「こゝろ」。8頁から本文、1頁18行、1行44字。「 先生と私」8〜93頁、「 両親と私」94〜136頁、「 先生と遺書」137〜263頁。章番号は半角ゴシック体漢数字で7字下げ、2行取り。
 264〜267頁「注釈」には担当者の名前がない。50項目。1頁21行、1行50字分。形式は1月6日付「夏目漱石『吾輩は猫である』の文庫本(05)」で見た角川文庫109『吾輩は猫である』改版四十五版に同じ、一八八版は角川文庫109『吾輩は猫である』改版六十二版に同じ。ともに西暦を(1887)の如く算用数字で横転させて入れている。
 268〜271頁「解説」、末尾に「吉田精一」。一八八版ではこれは「作品解説」になっており、その前に宮井一郎夏目漱石――人と作品」が追加されているのだが、2012年10月30日付(3)でも注意したように、宮井氏の文の末尾には(一九六八・一一・二三)とあるので、これはもともと角川文庫の別の夏目漱石の作品に附されていたものを、九十六版と一八八版の間に行われた、表示されていない改版(活版→写真植字)に際して、流用したものと思われる。一八八版の最後にある「年譜」も同様。
 最後の頁、272頁に「夏目漱石」の略伝がある。これも角川文庫109『吾輩は猫である』改版四十五版520頁にあるものと同版のようである。
 奥付は古い形式で7.2×5.1cmの角に隙間のある単郭の右上に初版発行/九十六版発行の年月日が並び、その下に「定価は、カバーに/明記してあります」とある。中央上部に横組みで「角 川 文 庫」1行分空けて「こ ゝ ろ」その下に「角川/書店」の印。下部に「著作者  夏 目 漱 石/発行者  角 川 春 樹/印刷者  渡 辺 竜 祐」が縦組みで並び、著作者にルビ「なつめそうせき」、印刷者の左脇に住所(郵便番号はなし)、その左に4.9cmの縦線があり、「発行所 〈東京都千代田区富士見二ノ十三/○一〇二○東京③一九五二〇八〉 〈株式/会社〉角川書店」1つめの○の中に「郵」2つめの○の中に「振」。「株式会社」の割書の左から「電話東京(265)七一一一(大代表)」漢数字は半角、「(265)」は特注の活字で1字分。匡郭外に、左辺の下寄りに「落丁・乱丁本はお取替えいたします」、下辺の下に「Printed in Japan   都印刷・宮田製本/0193-100112-0946(2)」。
 裏に角に隙間のある双郭に角川源義「角川文庫発刊に際して」、「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1979年4月」の(2)〜(6)頁、1段に21点、(2)頁上段の初めの15点はカバー裏表紙折返しの15点に同じ、その次に「漱石の思い出」、最後の頁は「角川文庫 最新刊」で9点、それぞれ2行(1行26字)の紹介文、最下部に定価。