瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『走れメロス』の文庫本(8)

・角川文庫1143
 2012年12月4日付(6)で見た改版四十七版には「98.7」印があった。平成10年(1998)7月受入で、「寄贈」印もないので購入だとすると、やはり2012年11月9日付(5)で見た改版四十七版にかかっていたカバーが発行当時のもので、その後掛け替えられたものと思われるのである。
 それは定価の表示法や「角川文庫クラシックス」を名乗り始める時期からも推測出来たことだが、それ以前の次の版を見たことによって確証を得た。
【改版三十二版】昭和四十五年十二月十日改版初版発行・昭和六十二年九月三十日改版三十二版発行・定価301円・237頁。
 これを改版四十七版と比較しつつ記述してみる。カバー表紙は同じ、表紙折返し最下部右下に「カバー 安西水丸」とあるのは一致。上部には「走れメロス」と題して明朝体横組み10行の紹介文(1行16字)があり、これは改版四十七版の裏表紙中央にゴシック体縦組みで入っていたものとルビも含め同文、異同は冒頭が1字下げになっていること、6行め末が「 …/」となっており「…」が1つしかないことである。下部には「野性時代」の広告。
 カバー背表紙、肌色地で上部に「た|1-3」太い明朝体で「走れメロス」中央やや下に同じ字体でやや小さく著者名があるのは改版四十七版に同じだが、その少し下にゴシック体で小さく「99-4」とある。最下部、ゴシック体で「角川文庫●310」●の中に白抜きで「P」。
 カバー裏表紙は白地で上部にISBNコードとCコードと定価が1行で入る。異同のみを摘記するに「P310E 定価310円」定価の下に「(本体301円)」とある。すなわちこのカバーも昭和末のものではなく消費税導入後に掛け替えられたものなのである。
 カバー裏表紙折返し、横組みで上部に「角川文庫太宰 治作品集」とあって1行空けて明朝体で「晩年/女生徒/ろまん燈籠/走れメロス/斜陽/〈改編〉人間失格・桜桃」とあり、左下に小さく「カバー 旭印刷」右下にKBマーク。改版四十七版は「人間失格・桜桃」となっている他は一致。
 本体は奥付の前が白紙であるところまで一致。
 奥付の子持枠の中、「だざいおさむ」にのみ振仮名のあるところも一致するが、その下に縦組みで改版初版発行とそれぞれの版の発行日、発行者が兄から弟へ、発行所の住所は一致、電話〈編集部/営業部〉が9桁から10桁に(半角括弧に括られた市外局番の次が「二三八」から「三八一七」に変わっている)、次に「〒一〇二 振替東京③一九五二〇八」が「〒一〇二 振替〇〇一三〇―九―一九五二〇八」、「印刷所――東洋印刷 製本所――文宝堂製本」の製本所が「多摩文庫」になっている。次の行「装幀者――杉浦康平」は一致するが、「落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」少し空けて「Printed in Japan」とあったのが、改版四十七版は「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛/にお送りください。送料は小社負担でお取り替えいた/します。」少し空けて「定価はカバーに明記してあります。」そして匡郭内の下辺右上に横組みで「©Printed in Japan」とある。
 匡郭下辺の下、右寄りに「ISBN4-04-109904-8 C0193」とあるのは一致するが、改版四十七版は左寄りに「た 1-3」とある。
 改版四十七版は奥付の裏の「角川文庫発刊に際して」で終わりだが、改版三十二版には3段組(1段21点)の「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1987年1月」の(2)〜(15)頁と「角川文庫 最新刊」が2頁(1頁10点)ある。