瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

John Steinbeck “The Pearl”(2)

・角川文庫1578『真珠』(2)
 2月16日付(1)の続きで、カバーの続きから。
 表紙折返し、右下に横組みゴシック体で「カバー 山羊十生」とあるのは共通。上部に横組みの紹介文があるが、三十三版は「真 珠」と題して、半行分空けて明朝体9行(1行17字)で9行目の17字めが最後の句点、冒頭1字下げ。三十八版は一回り大きな活字で組み直されていて、「真珠」と題して明朝体10行(1行16字)になっている。異同は5〜6行め「メキ/シコ人の間に」が6行め「メキシコ人に」となっているのみ*1だが、三十三版にはなかったルビが、2行め採取人(さいしゅにん)3行め盗人(ぬすびと)5行め赤子(あかご)8行め素朴(そぼく)9行め破滅(はめつ)に附されている。下部に三十三版(定価140円)は雑誌「野性時代」の広告、三十三版(定価200円)と三十八版は「月刊カドカワ」の広告で、全く同一のものだが三十八版の方が低い位置にある。
 三十三版の広告の違いは、定価と同じくカバーの刷られた時期の違いでもあるのだが、その考証めいたことは別に記事を用意している。
 本体は1頁(頁付なし)扉から102頁まで、三十三版と三十八版に異同はない(ようだ)。2頁(頁付なし)に原題と英文で1956年3月9日付で出版についての協定を結んだことが述べてあり、下部に長方形の枠内にゴシック体横組みで「日本語版翻訳権独占/角川書店」とある。3頁、プロローグみたいな文があって、4頁は白紙、5〜98頁が本篇、99頁「訳註」11項目、100〜102頁「あとがき」は「一九五七年七月」付。改版はしていないようだ。1頁18行、1行43字。
 奥付、子持枠の中、横組みで上部に「真珠/大門一男=訳*2」下部に「角川文庫 1578」その上に、脚と翼を広げて羽を銜えた鳳凰、これは扉も同じである。子持枠の下の縦組み部分の異同、それぞれの発行日、電話が三十三版は「電話東京二六五―七一一一(大代表)」の1行だったのが、三十八版は「電話〈編集部/営業部〉」の2行で市外局番(〇三)の次が「二三八」になっている。次の1行、郵便番号・振替番号一致。「印刷所――新興印刷 」は一致、その下の「製本所――」三十三版「多摩文庫」三十八版「千曲堂製本」。以下の3行は組み直されているが一致。半行分空けて、三十八版は「Printed in Japan」のみだが三十三版はその下に「0197-215708-0946(2)」と横転して入っている。三十三版は匡郭の外に何もないが、三十八版は下辺の下、右寄りにISBNコードとCコードが入っている。
 目録類はなく奥付の裏の「角川文庫発刊に際して」が最後。双郭、三十三版は10.6×7.1cm、三十八版は10.9×7.3cm、四隅は三十三版ははっきり切れている。三十八版は繋がっているが右下は少しずれている。

*1:7月7日追記】5行め「最愛の赤子」が「赤子」となっているのを見落としていた。

*2:ルビ「おおかどかずお」。