瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

七人坊主(40)

 2月22日付「七人坊主(39)」にて、小池壮彦八丈島での調査ぶりについて蒸し返した。これとても最近の小池氏の論調で行くと、八丈島の歴史民俗資料館が郷土史家の山田氏を紹介したのがまず、小池氏に真相を隠蔽しようとした八丈島側の工作、ということになってしまうだろう。いや、小池氏ほどの人物が、こんな見当はずれの調査をするはずがない。それを敢えてこんなふうにボケてみせたのは、この企画自体が「七人坊主」の真相を隠蔽するために打った大芝居だった、という解釈にもなりそうだ。尤もらしい調査結果を見せて「もう小池氏の調査があるから」改めて調べる必要なんかない、と迂闊な一般読者に思い込ませることで、真相に国民の目が向かないよう、逸らすように、地名も当たり障りのない「平根ヶ浦」や三原山の「東山」を取り上げて「ハテイの川」とか「ロッパがオバタ」などのヤバい地名、特に「東山の頂上」などのヤバ過ぎるポイントをスルーしたレポートを堂々と公表させ、部外者、特に遠慮会釈のないTV取材班などの目が「七人坊主」の最重要なポイントに達しないようにさせたのだ。……
 陰謀論を採ると、不注意で調べ落としたり、思い込みで妙な解釈をしてしまったりしただけのことが、こんなふうに合理化されてしまいます。――本当に小池氏は「七人坊主」が現在でも危険極まりない伝説であって、安易に肝試しの余興などに利用されないよう、肝心なところをボカしたレポートを発表した、という可能性も、なきにしもあらずです。けれどもそれでは、近年国民に知らされていない陰謀の存在を訴えている当の本人が、真相の隠蔽に荷担したことになってしまう訳です。島の平和はその方が保たれるでしょうけど。……いえ、そんなに真面目に考えずとも、やはりただ不注意と思い込みと偶然との積み重ねで、こんな調査になってしまっただけだろうと思うのですけれども。
 でも、小池氏のレポートはちょっとくらいおかしくても、編集者もTV局も気付かずに採用して商品にしたくらいですから、まぁそれで良いのです。同じようなことが、学問を飯の種にしている学者の書く文章にも間々見られる、ということの方が、深刻だと思う訳です。……思うのですけれども、1人1人の知識なんて限られたものです。その上、先入観で「信頼出来そうだ」と思った人の書いたものは実はそうでなかったとしても信じて読んでしまいますし、逆に初めに読んだものが破綻した、勘違いに基づいて強引に辻褄を合わせてしまったような代物ですと、後でまともな文章を読んでも「どうせあいつのなんか」と云う気分が抜けません。いえ、読む気がしなくなって自分の専門の調べ物に関連してしまうので仕方なしに読む、とか云う事情でもなければ、読まなくなってしまうことでしょう。だからとにかく、対案・自説がない限り論評もしづらい、という状況を打破して、もっと自由に良いところ・いけないところについて、意見が言えるようにしないといけないのではないか、と思うのです。
 2月13日付の続きみたいになってしまいました。
 このところ小池氏の著書について異同を点検しています。別に、それでどうかするのかと言うと、どうもしません。ただ、同じ人の書いているものが違っているのが何となく気持ち悪いので、何故違うのか多少憶測を示したりもしますが、とにかくそういうところがあることをメモして置きたい訳です。ですが、「七人坊主」については、初め小池氏が菊池氏の事実に基づく「創作」を、体験談と取り違えていることを「ほんの瑣事」として突っ込んで置くつもりで始めたのが拡がってしまって、今は総浚えのつもりで、ネット上に上がっているものも全てではないですが、拾うようにしています。それもしばらく放置していた訳ですが、先日、久し振りでネットに新たに七人坊主を取り上げたものがないかと思って検索してみたところ、2011年10月21日付(08)で取り上げたTO氏の文章をコピペして、若干、手を入れてそのままアップしているブログを見付けました。記事は先月アップされたものですのでTO氏のブログからの引用としか思えないのですが、どこにもそのことを断っておらず、適宜手を加えてTO氏の臭いを消しているので、このブログだけを見ると、この人が調べて書いたように読めてしまいます。いえ、こんなことは書かない方が良いのかも知れません。それに、ネット上の情報に、プライオリティとかを厳しく言ってみても仕方がないような気もします。私もたびたび、ネット上の情報だけをざっと調べただけのメモを挙げたりしています。しかし、研究のようなことをやると、似たような説の先後関係の確認で苦労するので、といって繰り返し書いたように、研究者を名乗っていても、そういうことを確認せずに通説に基づいてもう誰かが書いたような説を堂々と発表しちまうような手合いも絶えないのですが、だからこそ、どうもこういう拡散には敏感になってしまいます。とにかく、既に存在する内容のコピーをオリジナルのようにして上げるのは、止めてもらいたいものです。こんなに情報が溢れている世の中で、何の新味もない情報を複数つかまされるのは……(以下続稿)