瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

角川文庫の松本清張(4)

・昭和30年代 粒ぞろい短編集(4)
 本体について。
 1頁(頁付なし)扉、3頁「目次」、5頁(頁付なし)が1つめの作品の扉で、7頁から本文、1頁15行、1行38字。
 郷原宏「解説」は『男たちの晩節』279〜285頁、『三面記事の男と女』277〜283頁、『偏狂者の系譜』292〜298頁。1頁16行、1行40字。『男たちの晩節』にのみ、286〜297頁「年譜」がある。年表形式で末尾に「郷原宏著「松本清張事典決定版」より」とある。
 奥付の向かいの頁の下部に、横組みで「初出一覧」がある。0.5行分空けて作品名と掲載紙、刊年月が列挙される。
 まず『男たちの晩節』から。※を附して頁を添えて置いた。

  いきものの殻  「別冊文藝春秋」 1959年・12    ※5〜28頁
  筆写      「新潮」     1964年・3     ※29〜95頁
  遺墨      「小説新潮」   1979年・3     ※97〜117頁
  延命の負債   「小説新潮」   1977年・9     ※119〜139頁
  空白の意匠   「新潮」     1959年・4〜5   ※141〜217頁
  背広服の変死者 「文學界」    1956年・7     ※219〜244頁
  駅路      「サンデー毎日」 1960年・8.7    ※245〜278頁


 カバー表紙に「Matsumoto Seicho Showa 30's Collection 1」、カバー表紙折返しに「昭和30年代/粒ぞろい短編集」とあるのだが、収録作品は昭和31年(1956)から昭和39年(1964)の他に昭和52年(1977)と昭和54年(1979)が含まれている。
 次に『三面記事の男と女』。

  たづたづし 「小説新潮」   1963(昭和38年)・5     ※5〜61頁
  危険な斜面 「オール讀物」  1959(昭和34年)・2     ※63〜141頁
  記念に   「小説新潮」   1978(昭和53年)・10    ※143〜169頁
  不在宴会  「小説新潮」   1967(昭和42年)・11    ※171〜199頁
  密宗律仙教 「オール讀物」  1970(昭和45年)・2     ※201〜276頁


 西暦だけでなく年号が添えてあり、昭和30年代作でないものの方が多い。2行分空けて、

本書は、昭和30〜40年代作品群から、当時の愛憎をテーマに/5作品を選び、新たなタイトルを付けたオリジナル文庫です。

とある。しかし昭和53年(1978)も含まれている。なお『男たちの晩節』にはこのような断り書はなく、これは初版だけでなく九版も同じである。
 最後に『偏狂者の系譜』。

 笛壺   「文藝春秋」   1955(昭和30年)・6       ※5〜37頁*1
 皿倉学説 「別冊文藝春秋」 1962(昭和37年)・12       ※39〜135頁
 粗い網版 「別冊文藝春秋」 1966(昭和41年)・12       ※137〜202頁*2
 水行陸行 「週刊文春」   1963(昭和38年)・11〜64・1   ※203〜291頁


 本書はほぼ昭和30年代に収まっている。1行半空けて、

本書は、昭和30〜40年代作品群から、研究者たちの孤独をテーマに/4作品を選び、新たなタイトルを付けたオリジナル文庫です。

との断り書がある。

*1:ルビ「ふえつぼ」。

*2:ルビ「あら」。