瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山下武『20世紀日本怪異文学誌』(13)

 3月の頭から4月中旬に掛けて、初出連載誌「幻想文学」の、第60号を手許に置いていた時分に、折を見て単行本とざっと比較してみた。
 本書を初めて取り上げたのは2012年4月5日付「平井呈一『真夜中の檻』(17)」で、そこで「あとがき」及び「初出誌」に「ドッペルゲンガー文学考」と題して「幻想文学」誌の第37号から終刊号の第67号まで連載したことが見えることを指摘して置いた。この連載時の標題が単行本の副題になっている訳である。
 さて、第60号の196〜205頁に「『幻想文学』●総目次」として第41号から第60号までの細目が載る。以下、刊年月日と特集、そしてこの連載についての箇条を抜いて置く(著者名「山下武」は省略した)。

第四十一号(1994.7.31)特集◎ホラー・ジャパネスク
[ドッペルゲンガー文学考⑤]三橋一夫
第四十二号(1994.10.31)特集◎RAMPOMANIA
[ドッペルゲンガー文学考⑥]渡辺啓助
第四十三号(1995.2.28)特集◎死後の文学
[ドッペルゲンガー文学考⑦]海野十三香山滋
第四十四号(1995.6.20)特集◎中国幻想文学必携
[ドッペルゲンガー文学考⑧]平井呈一
第四十五号(1995.9.20)特集アメリ幻想文学必携
[ドッペルゲンガー文学考⑨]橘外男
第四十六号(1996.2.20)特集◎夢文学大全
[ドッペルゲンガー文学考⑩]佐藤春夫
第四十七号(1996.6.20)特集◎怪談ニッポン!
[ドッペルゲンガー文学考⑪]段沙児
第四十八号(1996.10.20)特集◎幻想建築文学館
[ドッペルゲンガー文学考⑫]澁澤龍彦
第四十九号(1997.3.1)特集◎シネマと文學!
[ドッペルゲンガー文学考⑬]泉鏡花
第五十号(1997.7.25)特集澁澤龍彦1987〜1997
[ドッペルゲンガー文学考⑭]三島由紀夫
第五十一号(1997.11.15)特集◎アンソロジーの愉楽
[ドッペルゲンガー文学考⑮]木々高太郎甲賀三郎
第五十二号(1998.3.10)特集◎猫の妖、猫の幻
[ドッペルゲンガー文学考⑯]夢野久作
第五十三号(1998.9.30)特集◎音楽+幻想+文学
[ドッペルゲンガー文学考⑰]長田秀夫と林和
第五十四号(1999.2.20)特集◎世の終わりのための幻想曲
[ドッペルゲンガー文学考⑱]城昌幸
第五十五号(1999.5.31)特集◎ミステリVS幻想文学
[ドッペルゲンガー文学考⑲]富ノ澤麟太郎
第五十六号(1999.10.31)特集◎くだん、ミノタウロス、牛妖伝説
[ドッペルゲンガー文学考⑳]山田風太郎
第五十七号(2000.2.29)特集◎伝綺燦爛――赤江瀑の世界
[ドッペルゲンガー文学考(21)]須藤鐘一
第五十八号(2000.6.30)特集◎女性ファンタジスト2000
[ドッペルゲンガー文学考(22)]永井明雄
第五十九号(2000.11.15)特集ボルヘス&ラテンアメリカ幻想
[ドッペルゲンガー文学考(23)]江戸川乱歩
第六十号(2001.3.10)特集◎幻想ベストブック1993-2000
[ドッペルゲンガー文学考(24)]岡本綺堂


 号ごとにコメントが付いているが、第六十号には「▼というわけで、本誌もようやく60号。これ/からも気長につきあってやってください!」とある。このコメントの意味するところについては、4月12日付「常光徹『学校の怪談』(003)」に、同誌に掲載されている関連する記述をいくつか引いて置いた。
 それはそうと、こんなことは、別に「総目次」で改めて確認しなくとも国会図書館雑誌記事索引でも分かることなのだけれども*1。それはともかくこの前に4回、この後に7回、計31回連載された。単行本と対照してもやはり雑誌連載のままの順序で、連載時には作者名のみだったのが単行本では作品名まで章題に示しているところが大きな違いと言える。(以下続稿)
4月24日追記】やっぱり簡単に見られるものだのに20号分だけ載せていてもどうも仕方がないと思い、「アトリエOCTA」HPの「『幻想文学』総目次」より、その前後の11号分を補って置くことにした。但し簡略に、刊年月日と番号と題のみを挙げて置く。

第三十七号(1993.3.25)①鴎外と龍之介
第三十八号(1993.6.15)②勇・基次郎・不木
第三十九号(1993.9.25)③西尾正と久生十蘭
第四十号(1994.1.27)④薄風之介と桑原静爾
第六十一号(2001.8.20)(25)宇野浩二
第六十二号(2001.11.20)(26)楠田匡介と畠山彬郎
第六十三号(2002.3.10)(27)沼波瓊音
第六十四号(2002.7.10)(28)渡辺啓助
第六十五号(2002.11.10)(29)川田功と赤沼三郎
第六十六号(2003.3.10)(30)三遊亭圓朝
第六十七号(2003.7.7)(31)谷崎潤一郎

*1:投稿直後に第42号と第43号の刊年月日が間違っていることに気付き、版元のアトリエOCTAのHPを参照した。「●総目次テキスト版●」がある。これをダウンロードした上で山下氏の連載だけは抽出すれば良かったのだ。それから国会図書館雑誌記事索引では何故か「ドッペルゲンガー文学考⑲」から後の13本しかヒットしない。従って、山下氏の連載だけを抜き出して見せたのも、意味があるかも知れない。尤もそれならこの20回分だけじゃなくて完全版にするべきなのだけれども。