・MATSUMOTO SEICHO COLLECTION(3)
最上部にゴシック体の著者名が入るものにはもう1種類あって、こちらも少し空けてやや小さな字で「ま/1-26」とゴシック体2段分類番号○で囲われた●の上にあり、そのすぐ下に明朝体太字で標題。下部はゴシック体「角川文庫 Y580|■」。
・角川文庫7750(ま1-26 Y580)黒い空(平成二年三月十日初版発行・平成十年十二月三十日二十六版発行・373頁)7行
カバー裏表紙折返し、縦組みで「角川文庫●松本清張の本――――――――――」文庫名は明朝体太字、他は一回り大きなゴシック体。2段組で明朝体にて上段「或る「小倉日記」伝/〈リバイバルコレクション〉/顔・白い闇/小説帝銀事件/霧の旗/徳川家康/落差/考える葉/内海の輪/聞かなかった場所/地の指(上)(下)」下段「死の発送/軍師の境遇/乱灯 江戸影絵(上)(中)(下)/失踪の果て/野盗伝奇/紅い白描/信玄戦旗/黒い空/数の風景/一九五二年日航機「撃墜」事件/ほか」とあり、左下に「カバー 旭印刷」右下にKBマーク。(以下続稿)
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5月14日のことがあって以来、なんだか昔の鳥のことを思い出している。……中学の頃、同級生が背黄青鸚哥を飼いたいからくれと言うので、その年に生まれた幼鳥をやったことがある。ところが「つかまえようとしたら逃げる」と文句を言ってきた。そんなの当たり前である。手乗りは特別に仕込んでるので、手乗りをくれと言われなければ普通に親鳥が育てた幼鳥をやる。手乗りでなければ人間は異類だと思っているから、逃げるに決まってる。――手乗りを育てたら一家総出で外出なんて出来ない。なんで大して仲が良い訳でもない同級生に、そこまで苦労して万障繰り合せて育てた手乗りを惜しげもなくタダでやらにゃいかんのか。それにしても小鳥屋の手乗りは安過ぎると思っている。
彼には手乗りでないから馴れなくて当然だ、と言ってやった。それから、フォローのつもりで、餌や水の世話を続ければ、そのくらいは覚えてくれるからそんなに逃げなくなるが、そういう育て方をしていないから今後とも手乗りにはならない、と付け加えた。そして、それっきりになった。今にして思えば、そんなつもりだったのならば返してもらえば良かった。きちんと可愛がってくれたのだろうか。最近、ただ思い出すだけでなくて、不安感とともに思い出すようになって来た。本当はうまく行っていたのかも知れないのだが、不安な要素だけを思い出している、そんな気もする。