瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中田薫『廃墟探訪』(4)

 『廃墟探訪』RUIN FILE No.33に対応しない箇所の確認より先に、対応する箇所について確認して置こう。
 「現代怪奇解体新書」の見出しと『廃墟探訪』のドロップキャップの位置を一覧にして見た。また、以下の対照の便宜のため、ドロップキャップについて丸数字の番号①〜⑨を仮に附して置いた。
 「現代怪奇解体新書」の見出しは3行取りで、点線に挟まれた間の上部に一筆の太線で爆発マーク、その下に1〜2行のゴシック体で入っている。見出しの改行位置は空白で示した。

「現代怪奇解体新書」 頁段行 『廃墟探訪』  頁段行
あの家には 行かないように…… 92中12 |①| 134上1
延々と障子が続く 無限恐怖 93下14 |②| 137上7
94中5 |③| 137中1
96中14 |④| 140中20
天寿をまっとうした 人物がいない! 97下8 |⑤| 141上8
97下20 |⑥| 141上18
98中7 |⑦| 141中24
もう、笑うほかない 98下10 |⑧| 144中1
100下6 |⑨| 144下9

 写真について、「現代怪奇解体新書」の写真は全て白黒、7月17日付(3)で90頁の写真には触れたが、「現代怪奇解体新書」に掲載される7点の写真のうち、90頁と94頁左上(上・中段15行分)の「まるで迷路。開けても開けても続く障子……」と97頁上(上・中段)の「玄関はメチャメチャに破壊されている」そして100頁上(上・中段)の「焼身自殺の現場。壁と天井が黒くすすけていた」の4点は『廃墟探訪』には再録されていない。共通するのは3点(うち2点カラー)、『廃墟探訪』には8点の写真(うち7点カラー)が掲載されるが135頁(全面)の「心霊テイスト満点の障子/戸。何枚か開け進むと仏/間にたどり着く。開け放/つたびに澱んだ空気を吸/い込み、気持ちが悪い。」、136頁(全面)の「狭い廊下から二階へと続/く階段。仏間の裏側にあ/たる場所にあり、まるで/隠し階段のようだ。上は/書斎になっていた…。」、139頁(全面)の「土間から見た屋内。奥が/厨房で、右の部屋には農/具が残されていた。カレ/ンダーの日付は昭和四七/年の二月で止まっている。」、142頁(全面)の「二階の書斎から雨戸を少/し開けて庭を見た。一気/に涼しい外気が流れ込ん/できて、ややホッとする。/庭はジャングル状態だ。」、143頁(全面)の「堆積した枯葉に足をとら/れながらも裏手に回って/みると、物置に仕事で使/っていたち思われる道具/も数多く残されていた。」以上5点は「現代怪奇解体新書」にはなかったものである。すなわち、何枚撮影したのか知らないが、合わせて12点が示されていることになる。
 さて、「現代怪奇解体新書」と共通する写真のうち、138頁(全面)は139頁の写真とほぼ同じ辺りから右奥を撮したもので、左側が139頁の右側と重なっている。すなわち139頁のキャプションはこの138頁にも適用される説明である。これが「現代怪奇解体新書」では95頁右上(上・中段15行分)に「玄関から見た土間。奥には厨房と浴室がある」とのキャプションを附して掲載されているのだが、裏焼きである。なお、この2点に写る土間に突き出すような3畳の角に、平たい円形の缶が置いてあって、カラーの『廃墟探訪』138頁の下部・139頁右下を見るに、側面は白地に赤で「OTARY」とある。「」の前にも1文字あるが読めない。ちなみに「現代怪奇解体新書」97頁の玄関の写真にも、同じ位置に写っている。
 それから「現代怪奇解体新書」93頁左上(上・中段19行分)に「森林にしか見えないが(上)、中を抜けると屋敷が(下)」とのキャプションを附して掲載されている2点のうち、(上)の写真は『廃墟探訪』134頁の右上に縮小して掲載。横は同じ範囲を撮すが、「現代怪奇解体新書」ではカットされていた上の空と下の畑が広く写り込んでおり、「現代怪奇解体新書」では樹木に隠れて判然としなかった、廃墟マニア(?)たちの場所特定のヒントになった鉄塔が、それでもぼんやりしているが、一応分かる。
 (下)の写真は『廃墟探訪』144頁上段にわざとボケた状態にして掲載されている。というのは「現代怪奇解体新書」に掲載されるものは全くボケていないので「わざと」効果を狙って細工したものだと分かる。なお、こちらは「現代怪奇解体新書」の方が写っている範囲が上下左右広い。『廃墟探訪』は拡大。(以下続稿)