瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『黒い空』(2)

・角川文庫7750(2)
 昨日の続きで、二十六版「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」とそれ以前(十二版)のカバーの比較から。
 十二版のカバー表紙折返しの上部、横組みで「黒い空」と題して、以下明朝体14行の紹介文。これは「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」ではカバー裏表紙に明朝体(太字)横組み7行で入るものも同文である。異同は、段落分けをしていないこと、冒頭1字下げもしていないこと、鍵括弧が半角になっていること、最後の段落が省略されていること。十二版の改行位置を「/」で、MATSUMOTO SEICHO COLLECTION(二十六版)のそれを「|」で示した。

 辣腕*1事業家山内定子が創った八王/子郊外の結婚式場「観麗会館」|は、/その高級感がうけて大変な繁盛ぶり/だ。
 経営をまかされて|いる小心な婿養/子善朗はある日、口論から激情して/妻定子を殺|し、死体を会館の名所で/ある「岩壁」*2に埋め込んでしまう。
 門出|を祝う式場が奇*3しくも墓場と/なり、その上空を不吉なカラスが|飛/び交い、新たな事件が発生する……。
 河越の古戦場に埋*4れた|長年の怨念/を重ねた、緻密な大型長編推理。
 黒シリーズの最新作


 「黒シリーズの最新作」とは、松本氏が健在であることを前提としたものだから、十二版のカバーは裏表紙折返しに「数の風景」が追加されている他は初版そのままと見て良いであろう。これを、没後の改装である「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」では削除したのである。
 本体、1頁(頁付なし)扉は鳳凰が異なり、十二版は羽を銜え脚と翼を広げていたが二十六版は翼を広げ脚を揃えている*5
 3頁「目次」、5〜369頁本文、370〜373頁、西木正明「解説」、頁付があるのはここまでで、その裏、下部中央に「本書の単行本は朝日新聞社より/一九八八年八月に刊行された。」とあるところまで一致。
 奥付は鳳凰が違う他、十二版は発行日の2行、文字が詰まっているが、二十六版はゆったりと組んでいる。発行者は十二版は兄、二十六版は弟、電話〈編集部/営業部〉の番号、市外局番(〇三)の次が十二版「三八一七―」だったのが二十六版「三二三八―」、下4桁は同じ。十二版「〒一〇二 振替東京③一九五二〇八」が二十六版「〒一〇二―八一七七/振替〇〇一三〇―九―一九五二〇八」、十二版「製本所――本間製本」二十六版「製本所――大谷製本」、縦組みの最後の4行「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛に/お送りください。送料は小社負担でお取り替えいたします。」半行分空けて1字下げ「定価はカバーに明記してあります。」と十二版にはあるが、二十六版は宛先が「小社営業部サービスセンターに」となっている。匡郭下辺の上右寄せに「©Printed in Japan」、匡郭下辺の下、右寄せでカバー裏表紙と同じISBNコードとCコードがあるのは同じだが、左寄せで十二版には「ま 1-39」とあったのが二十六版は「ま 1-26」となっている*6
 奥付の裏「角川文庫創刊に際して」は同版か。
 最後に目録、十二版は11.3cm、二十六版は11.4cmの7本の縦線で仕切って、1頁に6点ずつ、明朝体で標題、下部にゴシック体で著者(+訳者)名、最下部に明朝体3行(1行10字)の紹介文。十二版は「角川文庫ベストセラー」5頁に「角川文庫最新刊」3頁、二十六版は「角川文庫ベストセラー」8頁。「角川文庫ベストセラー」のロゴは同じだが挙がっている本は一致しない*7

*1:ルビ「らつわん」。

*2:2015年9月2日追記】二十五版の「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」カバーを見たところ、この鍵括弧は半角になっている。なお、ここの部分の異同については2015年9月2日付(3)に指摘した。

*3:ルビ「く」。「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」にはルビなし。

*4:ルビ「うずも」。

*5:10月16日追記】二十七版・三十三版も同じ。【2014年1月30日追記】三十七版となか見!検索で閲覧出来る三十八版も同じ。

*6:10月16日追記】二十七版は「製本所――コオトブックライン」以外は二十六版に同じ。三十三版は「発行者――田口惠司」、「電話〈編集/営業〉」で「営業」の番号は「営業部」に同じだが、「編集部」の下4桁は「―八四五一」だったのが「編集」の下4桁は「―八五五五」になっている。他は宛先が「小社受注センター読者係に」となっている他は二十七版に同じ。【2014年1月30日追記】三十七版はなか見!検索で閲覧出来る三十八版の奥付と、それぞれの発行日が異なるのみ。

*7:10月16日追記】二十七版と三十三版の「角川文庫ベストセラー」8頁は一致。【2014年1月30日追記】三十七版にも「角川文庫ベストセラー」8頁。