・別冊宝島(宝島社・A5判並製本)
別冊宝島二六八号[怖い話の本]一九九六年七月十四日発行・一九九七年七月三十日第三刷・定価874円・254頁
・宝島社文庫(宝島社・A6判並製本)
『伝染る「怖い話」*1』1999年8月9日第1刷発行・定価524円・413頁
・別冊宝島スペシャル(宝島社・B6判並製本)
『伝染る都市伝説*2』2008年3月7日発行・定価476円・255頁
宝島社文庫は奥付の前の頁(頁付なし)に明朝体縦組みで「この作品は、一九九六年七月に小社より刊行された/別冊宝島268『怖い話の本』を改訂・改題したものです。」とある。別冊宝島スペシャルは紫地の表紙裏、最下部左寄りに淡い紫色のゴシック体横組みで「本書は1996年7月に小社より刊行された/『別冊宝島268 怖い話の本』を改題改訂したものです。/当時の記述のままの箇所があります。あらかじめご了承ください。」とある。
いずれも書影が表示されないので貼り付けなかった。Amazon詳細ページには宝島社文庫の書影が示される*3。別冊宝島スペシャルは宝島社の公式WEBサイト「宝島CHANNEL」では書影・目次が示される。この別冊宝島スペシャルの表紙・裏表紙には「表紙立体イラストレーション=野崎一人」(別冊宝島8頁)の、絡み合う2匹の蜥蜴を「表紙イラストレーションCG加工/田中史彦」(別冊宝島スペシャル13頁)によって飛び出させた別冊宝島の書影が示されている。
別冊宝島と宝島社文庫はほぼ同内容で、構成が大きく異なる。別冊宝島スペシャルは「はじめに」も含めて12本しか収録していない。表紙に「別冊宝島の/名作を新装復刊!」或いは「定価500円」と強調しているが、別冊宝島・宝島社文庫の方が情報量は多い。ただ、宝島社文庫では皆無になっていた、別冊宝島に大量に挿入されていた写真やイラストが、別冊宝島スペシャルでは若干復活したり、新たなものに差し替えられたりして、それらしい雰囲気を保ってはいる。廉価に文字情報だけを仕入れたいのであれば、宝島社文庫が良いが、別冊宝島の雰囲気は味わえない。
以下、構成の違い・改題などを見ておく。異同も気付いた限りで注記したが、あまり細かく見ていないので、これで全てだとは思わないように。
・INTRODUCTION(別冊宝島・宝島社文庫)→はじめに(別冊宝島スペシャル)
別冊宝島編集部「受話器の向こう側からの「物体X」!」
別冊宝島2〜3頁・宝島社文庫3〜6頁・別冊宝島スペシャル3〜7頁。これだけで1篇の奇妙な話になっている。異同は別冊宝島3頁17行め「‥‥。宝島社の最寄/駅、JR四谷駅から電話をもらい、‥‥」が、宝島社文庫6頁7行め・別冊宝島スペシャル6頁14行めでは「‥。宝島社の最寄駅から電話をもらい、‥‥」となっている。
・目次
別冊宝島4〜8頁・宝島社文庫7〜10頁・別冊宝島スペシャル8〜11頁
* * * * * * * * * *
以下、別冊宝島は4章、宝島社文庫は3章、別冊宝島スペシャルは2章に分けられている。
・別冊宝島 PROLOGUE トラウマの報酬(9〜26頁)Part I 伝染る恐怖(27〜88頁)Part II 一〇一匹目の幽霊(89〜170頁)Part III 愛しの残酷物語(171〜254頁)。
・宝島社文庫 第1章 愛しの残酷物語(13〜163頁)第2章 一〇一匹目の幽霊(165〜309頁)第3章 伝染る恐怖(311〜411頁)
・別冊宝島スペシャル PART1 伝染る怖い話(13〜142頁)PART2 伝染る都市伝説(143〜255頁)
続いて、別冊宝島の目次の順に見て行くことにする。別冊宝島は目次にある副題を示して、本文の方のリード文は示さなかった。宝島社文庫は【 】に括ってゴシック体でテーマを示しており、副題はない。よって改題されていない場合、【テーマ】だけを示した。別冊宝島にも若干、テーマを示したものがあり、目次では〈 〉で括って、本文では黒地に白抜きで示されているが、ここも目次の方の示し方に従った。
・大泉実成「サリン事件の殺害現場に、亡者の叫びはきこえたか!/解毒剤としての「幽霊譚」の居場所を探すルポ」別冊宝島10〜26頁→宝島社文庫【トラウマ】14〜41頁→「大惨事*4/サリン事件の消えた亡霊たち/長野と東京でバラまかれた化学兵器。悲劇の現場に霊は出没したのか?」別冊宝島スペシャル204〜231頁。別冊宝島26頁上段3〜4行め「「千里眼事/件」」右上に「*」が附され、末尾26頁下段22行めに「*編注=二百三十八頁以降の記事参照」とあり、同じ注は宝島社文庫39頁6〜7行め「「千里眼事件」/(注2)」と本文にあって末尾41頁2行め「(注2)三百九十六頁の記事参照」とあったが、別冊宝島スペシャルにはこの「記事」が収録されていないのでこの注は削除されている。ちなみに宝島社文庫の(注1)は本文の29頁8行めに「‥‥。たしかに林泰男らがまだ逃走中(注1)なので、‥‥」とあり、41頁1行めに「(注1)林泰男は一九九六年十二月に逮捕された」となっており、別冊宝島スペシャルでも同じ(注1)は本文219頁13行め、末尾の231頁15行め*5に見えている。宝島社文庫(20頁右9行分)及び別冊宝島スペシャル(210頁右8行分)には「(図A)」として松本サリン事件現場の略図があるのみ、これは別冊宝島14頁中段右6行分にあったものを大きく書き直したもの。
・林巧「実録!怪奇物件を越え!!/因縁、いわくつきの土地建物は、不動産業界でどう扱われているか?」別冊宝島28〜40頁→宝島社文庫【家】62〜80頁*6→「怪奇物件/首くくりの家/自殺や殺人があった因縁物件は、不動産業界でどう扱われていくのか?」別冊宝島スペシャル165〜184頁。別冊宝島スペシャル177頁「photo/山田鎮二」とのキャプションのある写真は別冊宝島35頁上中段にあったもの。
・浅野恭平「骨ひろう人びと/アジアの島々に、今でも旧日本軍人の幽霊が徘徊しなくてはならない訳」別冊宝島41〜49頁→宝島社文庫【戦跡】122〜135頁。
・談=成田文祥 取材・構成=仁志久敬*7「見えてしまう不幸/超能力を期待する「凡人」たちへの戒め」別冊宝島50〜60頁→宝島社文庫【霊能力】212〜229頁→「霊能者/見えてしまう不幸/見えない我々にはわからない、「見えてしまう人」につきまとう苦悩」別冊宝島スペシャル62〜81頁。別冊宝島のイラスト3点は別冊宝島スペシャルに縮小して、枠線を消して掲載されている。
・若一光司「幽霊たちの「構造と力」/「幽霊生成現場」の一部始終!」別冊宝島61〜68頁→宝島社文庫「【嘘】幽霊たちの構造と力」312〜325頁。
・東雅夫「〈小説『リング』検証〉/すべての怪談は“不幸の手紙”から始まる!/感染する恐怖の物語が、リアリズムに浸食するプロセス!」別冊宝島69〜78頁→宝島社文庫【チェーン・レター】342〜357頁。
・小山田進一*8「悪霊たちの精神病棟/「正常者」の霊と「病者」の霊をめぐる悲しき無意識のドラマ!」別冊宝島79〜88頁→宝島社文庫【精神病】326〜340頁。(以下続稿)