瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『山峡の章』(3)

・角川文庫3606(3)
 6月2日付(1)にこれまで見たものを列挙したが、その後、掛かっているカバーが違っている2冊の五十四版を見た。2館の公立図書館で借りて来て、今、並べて見ている。
【五十四版】平成二十一年四月二十日五十四版発行・定価580円・375頁
【五十四版】平成二十一年四月二十日五十四版発行・定価590円・375頁
 定価580円の方は、背表紙のマークの色が従来のものに比べると赤紫色で地色も濃い肌色になっているが、四十六版・五十版のカバーに一致。定価590円の方は7月26日付「角川文庫の松本清張(11)」にメモして置いた。
 定価580円のもののカバー裏表紙中央の紹介文は以下の通り。

昌子は、九州旅行で知り合った若手経済官僚の堀沢と交際し、/結婚した。堀沢は役所内で出世コースを目ざす秀才で、几帳面/ではあったが神経質で、強いエリート意識と、心の底を明かさ/ない冷たさが、昌子に違和感を与えた。やがて、平穏で空虚な/日々ののちに起こった、妹伶子と夫の失踪。宮城県作並温泉の/山峡で発見された死体に、新聞は、不倫の恋の清算と書きたて/たが、妹は夫を好まず、夫もまた彼女を敬遠していた。<二人は、/情死ではない〉昌子は、自分の固い信念を、自分で確かめるほ/かはなかった。……若手官吏の死の謎に秘められた、国際的陰/謀を描く、巨匠の力作。


 定価590円のものもほぼ同内容。

昌子は、九州旅行で知り合った/経済官僚の堀沢と交際、結婚。/堀沢は出世を目ざす秀才で神経/質、強いエリート意識と、心の/底を明かさない冷たさがあっ/た。平穏で空虚な日々ののちに/起こった、妹伶子と夫の失踪。/宮城県作並温泉の山峡で発見さ/れた2人の死体に、新聞は不倫/の恋の清算と書きたてたが、妹/は夫を好まず、夫もまた彼女を/敬遠していた……。若手官僚の/死の謎に秘められた、国際的陰/謀を描く、巨匠の力作。


 夫と妹の情死に疑惑を抱いて、自分で真相究明に乗り出す、という筋だということは、確かにこれだけでも察せられる。

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 6月4日付(2)の続きで、奥付について。
 四十六版・五十版の異同はそれぞれの発行日、発行者の他、「電話」が四十六版〈編集部・営業部〉だったのが五十版〈編集/営業〉番号は同じ。四十六版「印刷所――旭印刷/製本所――e―Bookマニュファクチュアリング」と2行だったのが五十版「印刷所――旭印刷 製本所――コオトブックライン」、「落丁・乱丁本」の送り先が「小社営業部受注センター読者係」から「小社受注センター読者係」に変わっているくらいである。
 五十三版は「電話・編集」の「発行所株式会社角川書店」とは別に「電話・営業」が「発売元―株式会社角川グループパブリッシング」として立てられている。他に「製本所―BBC」、宛先が「角川グループ受注センター読者係」、「定価はカバーに明記してあります。」が匡郭内、子持枠の左辺の真下から、匡郭外左辺下寄せに移動している。
 五十四版も同じ。
 発行者は三十八版と四十六版は角川歴彦、五十刷は田口惠司、五十四刷は井上伸一郎。電話番号は三十八版では市外局番(〇三)の次が「三八一七―」となっていたのが四十六版では「三二三八―」で、下4桁は営業(部)は同じだが編集(部)は「八四五一」から「八五五五」に変わっている。
 郵便番号と振替番号は三十八版で1行に入っていたが四十六版・五十版では「〒一〇二―八一七七/振替〇〇一三〇―九―一九五二〇八」の2行になり、五十三版・五十四版では振替番号はなくなり、代わりにHPアドレスが入る。従来の郵便番号は「発売元」の番号になり「発行所」の方は別の番号になっている。発売元の郵便番号の次にHPアドレス。
 匡郭下辺の下、右寄せにあるISBNコード(10桁)とCコードは三十八刷から五十四刷まで一致。左寄せには三十八刷では「ま 1-18」とあったが四十六刷から五十四刷は「ま 1-11」となっている。
 奥付の裏は角川源義「角川文庫発刊に際して」、双郭で十一版は10.8×7.0cm、三十八版・四十六版・五十版・五十四版は角の切れているところも一致しており10.7×7.3cm。
 最後に目録、十一版は「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1979年4月」の(6)〜(9)頁、3段組で1段に21点、(6)頁下段7番めから松本氏で(7)頁上段12番めまでで、カバー裏表紙折返しに挙がるものと同じだが、分冊になっているものは「かげろう絵図 全二冊」の如く纏められている。また(7)頁上段4つめ「内海の輪」5つめ「日光中宮祠事件」でカバー裏表紙折返しとは順序が異なる。次にやはり3段組で「角川文庫目録 新刊」、上段「五十四年十一月」6点6冊と「十二月」12点12冊、中段にも続いて14点14冊、合計26点26冊、「五十五年一月」5点5冊、下段は「映画・TV化作品」でまず9点9冊のキー局と公開・放映時期が附記され、最後に「<本年後半の映画化>」として大藪春彦の3点3冊。下部に小さく横組みで「(V―1)   重版  I.ベンダサン「日本人とユダヤ人」  1980.2.」とある。その裏、上部0.6cmを仕切って横組みで「角川文庫 最新刊」9点9冊、仕切線はなく標題、標題の右脇上寄せに小さく著者名、標題の下に2行(1行26字)の紹介文、最下部に「380/円」と定価。匡郭(11.5×7.4cm)の下辺の下右寄りに(V―2)の頁付。
 三十八版は1頁6点の「角川文庫ベストセラー」6頁。四十六版・五十版・五十四版は1頁7点の「角川文庫ベストセラー」が6頁で一致。