瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

芥川龍之介『將軍』の文庫本(2)

・角川文庫1686『藪の中・将軍』(2)
 8月14日付(1)の続きで、本体について。
 改版二十三版と改版二十六版は一致。1頁(頁付なし)扉の鳳凰は羽を銜え脚と翼を広げる。
 改版三十九版の1頁(頁付なし)扉の鳳凰は脚を揃え翼を広げる。2頁(頁付なし)から309頁までは改版二十三版・改版二十六版に一致。
 改版二十三版・改版二十六版310〜312頁「芥川作品リスト(角川文庫)」として310頁2〜8行め『羅生門・鼻・芋粥』9〜12行め『偸盗・戯作三昧』13〜15行め〜311頁1行め『蜘蛛の糸地獄変』2〜4行め『舞踏会・蜜柑』5〜7行め『杜子春南京の基督』8〜10行め『藪の中・将軍』11〜13行め『トロッコ・一塊の土』14〜16行め〜312頁1行め『少年・大導寺信輔の半生』2〜6行め『河童・玄鶴山房』7〜9行め『或阿呆の一生侏儒の言葉』。標題を示して、1字下げで収録作品名を列挙。『羅生門・鼻・芋粥』の最後の2行(310頁7〜8行め)は2字下げで、

付 芥川龍之介――人と作品 吉田精一・作品解説 三好行雄・同時代人の批評・主要参考文献・年譜
*右のうち作品解説 同時代人の批評、年譜は以下全冊に収載

とある。本書では284〜290頁に三好行雄「作品解説」、291〜301頁に「同時代人の批評」として、291頁2行め〜293頁6行め「秋山図」評 豊島与志雄「新年の創作評〔二〕=芥川氏の小説「秋山図」=」(大正一〇・一・一「読売新聞」)、293頁7行め〜296頁6行め「秋山図」「山鴫」評 宇野浩二「十年文壇事始 十一」(大正一〇・一・二五「時事新報」)、296頁7行め〜297頁8行め「山鴫」評2 本間久雄「『正月文壇評』」(大正一〇・一・六「国民新聞」)、297頁9行め〜301頁17行め「藪の中」評 宮島新三郎「芥川氏の『藪の中』その他」(大正一一・二・一「新潮」)。302〜309頁、三好行雄編「年譜」。
 この309頁までは改版三十九版も同じなのだが、以下が異なっている。すなわち、改版三十九版では310〜311頁「芥川龍之介/角川文庫収録作品一覧」と1行に題して、310頁に2〜5行め『舞踏会・蜜柑』、6〜9行め『杜子春南京の基督』、10〜13行め『藪の中・将軍』、14〜17行め『トロッコ・一塊の土』、311頁に1〜4行め『或阿呆の一生侏儒の言葉』、5〜8行め『羅生門・鼻・芋粥』、9〜11行め『蜘蛛の糸地獄変』、12〜14行め『河童・戯作三昧』そして15〜18行めビギナーズ・クラシックス 近代文学編(角川ソフィア文庫)芥川龍之介の「羅生門」「河童」ほか6編』。それぞれ細目を示すが、作品の後に「/注釈 作品解説(三好行雄) 同時代人の批評」などと附録を示す。この組合せになっているのは『舞踏会・蜜柑』『杜子春南京の基督』『トロッコ・一塊の土』で、『藪の中・将軍』『或阿呆の一生侏儒の言葉』にはさらに「年譜」が附されている。『蜘蛛の糸地獄変』には「年譜」はあるが「同時代人の批評」はなく、『羅生門・鼻・芋粥』は「/注釈 解説・芥川龍之介――人と作品(吉田健一)、作品解説(三好行雄) 年譜」、『河童・戯作三昧』は「/注釈 作品解説(五味渕典嗣) 年譜」となっている*1
 312頁(頁付なし)は白紙、すなわち改版二十三版・改版二十六版に比して1頁減少しているのだが、このリストにも、これら2つの間にまた別のリストが存在していて、なかなかに跡付けるのが厄介なのである。(以下続稿)

*1:10月1日追記】角川文庫1685『トロッコ・一塊の土』改版四十版(昭和四十四年七月三十日改版初版発行・平成二十年八月三十日改版四十版発行・定価476円・269頁)にも、268〜269頁に全く同じ一覧がある。なお、カバー表紙折返し・裏表紙折返しは本書と一致、カバーの他の部分も同じ体裁である。