瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(72)

物集高音「赤きマント」(1)
 それでは、2013年12月29日付(69)にて触れた、現在のWikipedia「赤マント」項の下敷きになっている、物集高音「赤きマント」の内容について確認して行きましょう。
講談社ノベルス『赤きマント 【第四赤口の会】』二〇〇一年十月五日第一刷発行・定価740円・196頁 

 カバー裏表紙の中央にある横組み明朝体の紹介文を抜いて置きましょう。

「赤いマントと青いマント、どっちがいい?」 戦中/の東京中の少年少女を恐懼せしめた怪人・赤マントは/実在したのか?『肉付きの面』『歌い骸骨』『魔女の箒』/――「奇*1し物」の蒐集家たちが完全会員制【第四赤口*2/の会】に集う。昔話に秘められた真実とは? 凡百の/都市伝説と一線を画す、鬼才が贈る民俗学ミステリ。


 1〜2頁は白紙、3頁扉、4頁は下部に縦組みで小さく「ブックデザイン=熊谷博人/カバーデザイン・イラストレーション=佐藤三千彦」、5頁は「目次」の扉で6〜7頁が目次、8頁「登場人物」は11人の肩書きと専門分野。9頁は「第四赤口の会[会則四条]」、10頁は「アシモフ黒後家蜘蛛の会1』一九七四」から「彼らは毎月、/邪魔の入らない、/静かな場所で/例会を開いた。」の引用、11頁が「第一夜 赤きマント Red Red Mant 」の扉で12頁から本文で頁付があります。2段組で1段18行、1行23行。57頁上段17行めまで。59頁「第二夜 肉付きの面 Magic Mask 」の扉で、本文は101頁下段12行めまで、103頁「第三夜 歌い骸骨 Singing Bone 」の扉で、本文は143頁上段7行めまで、145頁「第四夜 魔女の箒 Witch's Broomstick 」の扉で、本文は191頁上段11行めまで。192〜193頁「【参考文献】」、195頁「【後 記】」頁付があるのはここまで。196頁は「【初 出】」、ついで奥付、1頁30点(3段組、1段10点)の「KODANSHA講談社ノベルスNOVELS 」の目録が9頁、10頁めは「小説現代増刊メフィスト」の広告で書影は平成13年9月18日発行の「小説現代」9月増刊号。11頁め、最後の頁は「講談社ノベルス 最新刊」7点で本書は最初に挙がっています。
 第一夜は第六十六回で12月、第二夜は第七十回で4月、第三夜は第七十四回で8月、第四夜は第七十五回で9月です。それぞれの章は4つの節に分かれています。
 第一夜の1節め、12〜24頁下段7行め「赤鴉荘の夕べ*3」は全体の導入で、今回、会員の古本屋相見月波堂の紹介で初めて参加することになった一丸和美という女性が、丸ノ内線茗荷谷駅から湯立坂を下り、谷底の千川通り(東京都道436号小石川西巣鴨線)を渡ってそのまま真っ直ぐ網干坂を上り、坂上に近い辺りにある会場・図師美方邸を訪ねるところから始まります。12月23日付(63)で見た中島公子「坂と赤マント」の舞台に近い辺りです。当時、中島氏の小説は同人誌に出ていただけですので偶然でしょうけれども。地図を見るに文京区千石2丁目11番地、昨年の夏(2013年6月・7月)に撮影されたGoogle ストリートビューを見るに、この辺りは白い鉄板で囲われており、Google マップの航空写真を見るに、中は更地になっております*4
 9頁に載る会則の2条めに「一、会ハ図師邸ニテ夕六時ヨリ開カルベシ」とありました。「第四赤口」というのはその月の4番めの赤口の日で、六曜は6日で一回りしますから、例えば今月(2014年1月)の場合、1日が赤口なので7日、13日、そして19日が「第四赤口」ということになります。ちなみに来月(2014年2月)は5日、11日、17日、23日が赤口です。従って、毎月19日から24日の間に開催されている計算となります。作中の記述を細かく見ていけば、年も特定出来るかも知れません。
 16頁下段16行め「「会」は江戸文政時代の「耽奇会」を模した」とあって、会員が回り持ちで章題にあるような「奇し物」を持ち出し、それについて出品者を中心に会員が語り会うという趣向で、会話中心に展開して口調の違いによって誰の発言か区別させるような書き方になっています。
 第一夜「赤きマント」では、主宰図師美方*5の姪、富崎ゆうが出品者となっております。「怪人・赤マントのマント」が出品されて(!)いるのです。27頁にはマントのイラストもあります。8頁「登場人物」によると「女子高生。都市伝説・民話研究家。」で、図師氏との関係は、25頁上段17行めに「姉の娘」とあり、年齢ですが第三夜「歌い骸骨」の、105頁上段2〜5行めにも「‥‥。主宰の姪、富崎*6ゆう/だった。私立女子高の二年生だった。十七歳の生意/気盛りだった。噂、流言、都市伝説の蒐集家*7だっ/た。本の虫で、年の割に異常な読書家だった。」とあって、高校2年生で8月までに17歳になっているのですから、第一夜の12月の時点では高校1年生で16歳だったはずです。(以下続稿)

*1:ルビ「あや」。

*2:ルビ「しやつく」。

*3:ルビ「せきあそう」。

*4:2020年10月4日追記】その後、2015年1月にインペリアルガーデンと云う鉄筋コンクリート4階建のマンションが出来ている。

*5:読みは「ずしよしかた」。

*6:ルビ「とみざき」。

*7:ルビ「コレクター」。