瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(123)

・ながたみかこ『日本の妖怪&都市伝説事典』2011年6月14日初版発行・定価800円・大泉書店・223頁・B6判並製本

日本の妖怪&都市伝説事典

日本の妖怪&都市伝説事典

 なかさこかずひこ! 絵。カバー表紙の右下に「妖怪156+都市伝説34」とあります。1頁(頁付なし)扉、2〜6頁「もくじ」。2〜215頁は大体で2段組、1頁に妖怪を上下段に1つずつ2つ紹介することもあれば、1頁に1つで上段に絵、下段に説明文になっていることもあります。
 5章に分かれており、4章までが「妖怪156」で通し番号、5章「都市伝説」177〜215頁は別に番号が打たれています。章と章の間にはコラムやクイズが挿入されています。
 1章「家の妖怪」7〜47頁、1から46まで。48頁「妖怪豆知識①」。
 2章「町の妖怪」49〜95頁、47から92まで。96頁「妖怪豆知識②」。
 3章「水辺の妖怪」97〜125頁、93から116まで。126〜127頁「妖怪クイズ」10問、128頁「妖怪クイズの答え」。
 4章「山の妖怪」129〜172頁、117から156まで。173〜176頁「勝手に妖怪ランキング」は最初の凡例に当たる文以外は横組み。
 5章「都市伝説」177〜215頁、1から34まで。216〜217頁「おわりに」は1段、218〜223頁「妖怪さくいん」は3段組。
 構成等については著者のブログ「ながたみかこブログ 作家の裸踊り」の2011年6月7日付「新刊出ました『日本の妖怪&都市伝説事典』」に紹介されていますのでここでは省略します。ながたみかこ(1968生)は三重県伊勢市出身で本書の奥付には神奈川県在住とありますがブログのプロフィールには東京都在住とあります。この出身地と居住地がどのくらい内容に反映するのだか、赤マントについて言えば関係ないと思うのですけれども、これまで見て来たようにこういうところにも記述内容を読解く手懸りがあって、実際に記憶の錯誤の修訂なども出来た訳ですので、念のために注意して見るのです。
 223頁の下段に横組みで<参考文献>として11冊が挙がっています。その裏の奥付も横組みです。
 181頁「③赤いマント」は上段に、赤(紫と黒の2色刷なので紫色)マントの怪人が左後方へ走り去るところで、露出しているところは両足と左腕と頭ですが全て黒で、僅かに左目だけが丸く紫色で入っています。左腕には後ろ向きに泣き叫ぶ男児が抱えられています。下段には「(出没場所)帰り道、学校の下駄箱など*1/(出会って/しまったら?)ひとりだとねらわれやすいので、下校/は友だちといっしょがおススメ*2」そして「(こわさレベル)」はマークが3つでこれは5つが最大。
 出没場所が「学校の下駄箱」となっているのは1月10日付(80)に引いた『現代民話考』に載る大阪市の松ヶ枝小学校(廃校)の例に由来する*3ようです。但し松ヶ枝小学校の例にはどこにも「赤マント」との色の指定は入っていないのですけれども、これについてはまた改めて、中断している中村希明説の検討を再開するに当たって取り上げるつもりです。続く説明文は以下のようになっております。

赤いマントをはおり、子どもをさらう*4
 学校からの帰り道、子どもをさらっていく/赤いマントを着た男。マントは子どもを中に/かくすためのものだろうか。現代ではコート/を来ている人はいても、マントをつけた人は/なかなかいないだろう。マント着用というだ/けで、あやしい印象を受ける。
 赤マントは子どもの血を吸う男だという話/もある。学校の出入り口にあらわれることも/あるので、下駄箱でくつをはきかえるとき、/校門を出るとき、……十分に注意しよう。*5


 ここでは便所との関係や「青いマント」等にも触れていません。<参考文献>に『現代民話考』は挙がっていませんので、他の本に拠ったのでしょう。念のため、一通り確かめる必要がありましょうか。便所の話は178〜179頁「①赤い紙青い紙」が挙がりこれは(こわさレベル)も最大の5つとなのですが「ちゃんちゃんこ」や「半纏」にも触れていません。(以下続稿)
2月25日追記】<参考文献>をここに示す。原文に「/」が使用されているので改行位置は「|」で示した。

『妖怪図巻』(国書刊行会)/『画図百鬼夜行全画|集』(角川ソフィア文庫)/『遠野物語』(角川ソ|フィア文庫)/『日本妖怪大鑑』(講談社+α文|庫)/『日本妖怪大事典』(角川書店)/『日本|の妖怪百科』(河出書房新社)/『おもしろ妖怪|列伝』(講談社)/『妖怪事典』(毎日新聞社)/|『幻想動物事典』(新紀元社)/『日本妖怪博物館』|(新紀元社)/『怪奇! あまりに怖すぎる都市伝|説』(河出書房新社

*1:ルビ「しゅつぼつばしょ・かえ・みち・がっこう・げたばこ」。

*2:ルビ「であ・げこう・とも」。

*3:2月25日追記】投稿当初「拠っている」だったのを訂正。

*4:ルビ「あか」。

*5:ルビ「がっこう・かえ・みち・こ/あか・き・おとこ・こ・なか/げんだい/き・ひと・ひと/ちゃくよう/いんしょう・う/あか・こ・ち・す・おとこ・はなし/がっこう・でい・ぐち/げたばこ/こうもん・じゅうぶん・ちゅうい」。