瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(127)

 廣井氏の依拠した資料は、2月25日付(125)に指摘して置いたNHKブックス562『うわさと誤報の社会心理』の注にのみ示される昭和48年(1973)12月23日付「毎日新聞」で、他のものは見ていないようです。ですから、赤マントについて突っ込んだ考察をするには正直取るに足らないのですけれども、赤マントの記憶が曖昧になっていた時期のものとして取り上げてみました。
 そこで順序として、廣井氏の典拠である「毎日新聞」の方を見て置きましょう。昨年中に見ていたのですがメモを取る余裕なく、漸く廣井氏の著書について記事にして、その余勢を駆って確認して置きました。
・「毎日新聞縮刷版」昭和48年12月号(昭和四十九年一月十五日発行・定価一八〇〇円・毎日新聞社・824頁)
 号数は表紙上部に拠る。下部には「1973.12月  NO.288」、奥付には「十二月号(第二十四巻・第十二号)」また発行日に添えて「(通巻第二八八号)」とあります。
 赤マントに触れているのは年末に「家庭」欄に連載された「視界ゼロ」というコラムです。
 その初回は「昭和48年(1973年)12月22日(土曜日)」の(11)面・12版で、縮刷版651頁。右上の1〜8段め、この回の見出しは「可哀そうなアーチャン」。末尾に「=つづく」。
 「視界ゼロ」というロゴが使われています。上下に尖端が濃く次第に薄くなる鎌の刃のような形があって、上にあるものは右が尖り、下にあるものは左が尖っています。その間に横書きで「視界ゼロ」とあるのですが「ゼロ」は白く中抜き。
 この連載初回はこのロゴの右下左をコラムの意図を述べた文が囲み、さらに三重線の匡郭で囲っています。どんな連載なのかを確かめるためにもこの文は引用して置きましょう。

 「日本沈没」と「破滅論」がもてはやされた73/年。真顔になって末世を語るかと思えば、トイレッ/トペーパー、石油の/買いだめに走る。地/震や“取付け”のデ/マが本当だと信じら/れる。その心情を笑/ってはすませられな/い何かがあった。成/長ゼロ、インフレの/来年さえ約束された/ようで、そこを右往/左往する人々。その/一人々々があなたであり私であった。「福祉元年」/は乾ききった騒々しさの中で暮れようとしている。


 ちなみにこの面の9〜10段めは連載小説で「翔ぶが如く(712)*1」で「司馬遼太郎/風間 完」、1行めに「北京の日々(一一)」とあります。
 2回めは「昭和48年(1973年)12月23日(日曜日)」の(13)面・12版で、縮刷版681頁。右上の1〜7段め、この回の見出しは「デマが生まれ、ひろまる環境」で、ここで赤マントが重要な役回りを負わされています。末尾に「=つづく」。ちなみに小説は8〜9段めに続きで「北京の日々(一二)」です。
 それでは次に、内容を確認して置きましょう。(以下続稿)

*1:振仮名「と・ごと」。