瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『こゝろ』の文庫本(11)

・角川文庫(8)
 角川文庫235『こゝろ』について、272頁の九十六版(昭和五十四年六月二十日発行)を2013年1月16日付(09)2013年1月17日付(10)で、300頁の一八八版(平成十四年五月二十五日発行)を2012年10月27日付(1)及び2012年10月30日付(3)にメモして置いた。
 今回、漸く別の版を見たので追加して置く。
百七十七版】昭和二十六年八月二十五日初版発行・平成九年四月十日百七十七版発行・定価300円・300頁
 今、手許には九十六版もあるが、主として一八八版と比較しつつメモして置こう。別の版と云っても角川文庫の場合は単なる増「刷」を「版」と称している場合が殆どで、百七十七版は本体300頁、1頁(頁付なし)扉から300頁まで一八八版に一致。
 カバー表紙は一八八版に同じ。但し一八八版に比較すると背景の緑が淡く、男性の背広の色も淡く、手前の太鼓橋の床板の黄土色も淡くなっている。但し女性の和服は百七十七版の方が赤系統の色が鮮やかに出ている*1
 カバー背表紙、上部は白地で最上部にゴシック体で小さく「CLな1-10」とありすぐ下に楷書体で標題「こゝろ」、中央やや下にゴシック体で著者名、下部4.6cmは小豆色地でゴシック体白抜きで「角川文庫クラシックス」と上に詰めて入っている。その部分のすぐ上、白地の最下部にごく小さくゴシック体で「Y300」。
 カバー裏表紙は一八八版に一致。
 カバー表紙折返しの上部の写真と中央部の略伝は一八八版に一致。下部右寄りにゴシック体横組みで「カバー わたせせいぞう」とある。これは何故か一八八版からは消えている。
 カバー裏表紙折返しは九十六版に近い。2013年1月2日付「夏目漱石『草枕』の文庫本(2)」で見た、角川文庫722『草枕二百十日』の改版四十二版に一致している。
 本体の一八八版との異同は奥付と目録。
 奥付はそれぞれの発行日の他、「電話」の「編集部」の番号下4桁が百七十七版「八四五一」が一八八版「八五五五」に、郵便番号が3桁で振替番号と「〒一〇二 振替〇〇一三〇―九―一九五二〇八」とやや横長にした明朝体で入っていたのが一八八版は「〒一〇二―八一七七」で1行にして2行めに振替番号を配し、文字は横に長くしていない。百七十七版「印刷所――旭印刷 製本所――文宝堂」の製本所が百八十八版は「――コオトブックライン」になっている。「落丁・乱丁本」の送り先は百七十七版「小社角川ブック・サービス宛に/」であったが一八八版は「小社営業部受注センター読者係に/」となっている。匡郭の外、右下のISBNコードとCコードは一致(カバー裏表紙にあるものとも一致)。左下は百七十七版「CL な 1-10」であったのが一八八版「な 1-10」となっている。
 その裏は「角川文庫発刊に際して」で一致。最後の2頁が目録になっていることも同じで一八八版は「角川文庫ベストセラー」であるが、百七十七版は4段組で、1頁めの1段めに横長の楕円の子持枠(但し内が太線で外が細い)があって明朝体の太字横組みで「あなたは/角川文庫クラシックスを/何冊読みましたか?/◆◆◆◆Kadokawa Bunko Classics ◆◆◆◆」とある。これはこれまで度々問題にして来た、例えば2013年8月20日付「樋口一葉『たけくらべ』の文庫本(3)」に取り上げた角川文庫829『たけくらべにごりえ』三十五版にあった1頁7点の紹介文付の目録を、標題・著者名だけに簡略化したもので、1行の上部に明朝体太字で標題、下部に細いゴシック体で著者名、日本人の著者名は4字分で5字或いは6字分取っているところは文字を横長に潰して収めている。3字名は姓名の間を1字分空白にする。外国人は下詰めで文字は潰さず高さはまちまち。
 これにより「角川文庫クラシックス」のラインナップは確かめられる。問題にして来たところの1頁7点の目録の錯簡(?)も修正出来るであろう。1頁7点の目録で全部を掲載したものはないらしいが、この全点の目録により何頁めに当たるのかも見当を付けられるのである。
 よって煩を厭わず入力して見たのだけれども、148点と数も多く、折角ならこれまで断片的にしか見ていなった1頁7点の目録との対照もやって見たいので、ここには載せないで別に上げることとしたい。(以下続稿*2

*1:褪色ではないだろう。

*2:12月2日追記3月2日付「「角川文庫クラシックス」の目録(1)」に示した。