瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『軍師の境遇』(5)

・角川文庫18107(2)
 3月26日付(4)の続き。
 以下、角川文庫6796(三版)と比較しつつ内容を見て置く。
 1頁(頁付なし)の扉は、子持枠の中に横組みで、明朝体の標題と著者名の間に小さくゴシック体で「新装版」とあり、鳳凰が翼と脚を拡げ羽を銜えたものから脚を揃えて翼を拡げたものに変わっている。その下の番号が「18107」に変わっている。
 3頁「目 次」は収録している3つの作品名と半角漢数字の頁数だけで細目は示さない。角川文庫6796は3番め「板元画譜」とあるのみであったのが、「板元画譜 ――耕書堂手代喜助の覚書」と副題も示している。さらに1字下げで「解 説」とあり下寄せ「葉 室  麟 二八七」の1行を、追加している。
 5頁(頁付なし)は「軍師の境遇」の扉で、6頁から本文。章題がやや大きな字で3行取り3字下げで入っているのは同じだが角川文庫6796は冒頭「迷 い」の前に1行分余白を取っている。角川文庫6796は1頁16行、1行42字であったが1頁17行、1行38字。以下「目次」にない細目を示して置く。
 「迷 い」6頁1行め〜23頁3行め/6頁1行め〜22頁13行め、
 「岐阜への使い」23頁4行め〜39頁7行め/22頁14行め〜39頁5行め、
 「相 客*1」39頁8行め〜52頁5行め/39頁6行め〜51頁15行め、
 「中国征伐*2」52頁6行め〜73頁6行め/52頁1行め〜72頁10行め、
 「攻 勢」73頁7行め〜81頁12行め/72頁10行め〜80頁13行め、
 「別所反逆*3」81頁13行め〜92頁15行め/80頁14行め〜91頁17行め、
 「荒木謀反*4」93頁1行め〜107頁3行め/92頁1行め〜106頁2行め、
 「裏切られても」107頁4行め〜120頁11行め/106頁3行め〜119頁6行め、
 「孤 囚*5」120頁12行め〜141頁3行め/119頁7行め〜139頁4行め、
 「帰 還」141頁4行め〜165頁1行め/139頁5行め〜162頁10行め、
 「三木城*6」165頁2行め〜174頁2行め/162頁11行め〜171頁9行め、
 「鳥取*7」174頁3行め〜180頁4行め/171頁10行め〜177頁13行め、
 「高松城水攻め」180頁5行め〜189頁9行め/177頁14行め〜187頁1行め、
 「疑 惑」189頁10行め〜204頁8行め/187頁2行め〜201頁14行め。
205頁/203頁「逃亡者」の扉(頁付なし)、角川文庫6796は章番号は2行取り7字下げ、「一」の前のみさらに1行分空白であったが、3行取り7字下げで「一」の前にそれ以上の余白は取っていない。
 「一」206頁1行め〜212頁3行め/204頁1行め〜210頁8行め
 「二」212頁4行め〜219頁8行め/210頁9行め〜218頁1行め
 「三」219頁9行め〜226頁2行め/218頁2行め〜224頁14行め
 「四」226頁3行め〜231頁12行め/224頁15行め〜230頁9行め
 「五」231頁13行め〜234頁14行め/230頁10行め〜233頁12行め
235頁「板元画譜」の扉(頁付なし)、角川文庫6796も1字下げで副題を添えている。章見出しの処理は「軍師の境遇」に同じ。
 「壱の章」236頁1行め〜243頁13行め/236頁1行め〜243頁14行め
 「弐の章」244頁1行め〜251頁7行め/244頁1行め〜251頁9行め
 「参の章」251頁8行め〜260頁5行め/251頁10行め〜260頁10行め
 「四の章」260頁6行め〜269頁11行め/260頁11行め〜270頁4行め
 「五の章」269頁12行め〜277頁15行め/270頁5行め〜278頁10行め
 「六の章」278頁1行め〜285頁12行め/278頁11行め〜286頁9行め
 角川文庫6796は頁付があるのは285頁までで、その裏は次のようになっている。

本書収録作品の初出誌、発表年月日(号)は、以下の通りである。
軍師の境遇 「高校コース」昭和三一・四〜三二・三(原題「黒田如水」)
逃亡者   「別冊文藝春秋」昭和三六・一二
板元画譜  「別冊文藝春秋」昭和四六・一二


 その次が奥付。改版(新装版)の角川文庫18107にはこのような初出データはなく、その代わりに287〜294頁3行め、葉室麟「解説」があるのだが、執筆・発表時期・発表媒体に触れるところがない。台詞を多用し細かく段落分けしている「高校コース」に対し、「別冊文藝春秋」の方は一段落が長くなっていることは一目瞭然で、1頁当りの字数は42字×16行の方が38字×17行よりも多いから、「別冊文藝春秋」発表の2点は前者の方が頁数が少なくなっているが、「高校コース」発表の「軍師の境遇」のみ、1頁の字数ではなく行数の多い後者の方が頁数が減っているのである。もちろん、今やネットですぐに調べられる時代になったのではあるけれども、やはりそれを裏付ける情報は書籍に明記して置くべきだと思う。(以下続稿)

*1:角川文庫6796にルビ「あいきゃく」。

*2:角川文庫6796にルビ「せいばつ」。

*3:ルビ「べつしよはんぎやく/べつしよ」。

*4:ルビ「あらきむほん」。

*5:角川文庫6796にルビ「こしゆう」。

*6:ルビ「みき」。

*7:ルビ「とつとりじん」。