瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張「或る「小倉日記」伝」(2)

・角川文庫1762(2)
 2013年10月17日付(1)にて、角川文庫1762『或る「小倉日記」伝』の改版は、「REVIVAL COLLECTION Entertainment Best 20 '60〜'80」に際して行われたもので、「平成九年二月二十五日改版初版発行、なのではないか、と見当を付けている。」などと名探偵ぶってみたのだが、漸く「REVIVAL COLLECTION Entertainment Best 20 '60〜'80」のカバーの掛かっている『或る「小倉日記」伝』を見ることが出来た。結論を言えば、大外れであった。
改版再版】昭和三十三年十二月十日初版発行・平成七年二月十日改版再版発行・定価456円・268頁
 やっぱり改版初版が何時だか分からないのだけれども、平成7年(1995)2月に「改版再版」であればそれより以前である。そして、平成9年(1997)2月のリバイバルコレクション【第5回配本】に際しての増刷は、Amazon詳細ページの「登録情報」に見える「出版社: 角川書店; 改版四版 (1997/02)」の1行の通り、改版四版なのである。 前回「REVIVAL COLLECTION Entertainment Best 20 '60〜'80」の書影を貼れるだけ貼って置いた。私はこのうち角川文庫3313『検事 霧島三郎』しか見ていなかったのだが、20点23冊のうち、本書を除く22冊は画像検索により書影を見ることが出来る。
 カバー裏表紙折返しは角川文庫3313『検事 霧島三郎』に同じ。改版五版・改版六版はゴシック体横組み、上部に「角川文庫|松本清張の本 ||」とあって「顔・白い闇/霧の旗/徳川家康/落差/人間水域/内海の輪/山峡の章/水の炎/死の発送/失踪の果て/紅い白描/信玄戦旗/黒い空/数の風景/犯罪の回送/松本清張の日本史探訪/聞かなかった場所/潜在光景/男たちの晩節/三面記事の男と女/偏狂者の系譜/或る「小倉日記」伝」の22点、右下にKBマーク。
 帯は保存されていないが【第3回配本】までは「リバイバル/コレクション」、【第4回配本】以降は「名作発掘」の帯が掛かっているので、【第5回配本】の本書には黄緑色の「名作発掘」帯が掛かっていたのであろう。
 カバー表紙のレイアウトは角川文庫3313『検事 霧島三郎』に同じ、文字は全て横組みで、上部は白地(4.1cm)で上から2.3cmのところに横線(9.6cm)があって、その上に明朝体で大きく「或る「小倉日記」伝」と標題、横線の下にゴシック体左詰めで「松本清張*1」とあり、その右*2に上寄せで小さく「Matsumoto Seichō 」とある。
 下部10.7cmは黄緑色地で左上に横長の楕円に窓(4.8×5.4cm)を作って、ぼんやりした油彩で赤い花を生けた硝子花瓶らしきものが2本、右に近景で大きく青い花瓶、左に円形で小さく緑色の花瓶、花瓶は黒い面の上に乗っており、背景は西洋の版画古地図の日本で、2つの花瓶の間に東京湾、緑色の花瓶の左に九州・南西諸島・朝鮮半島が見えている。この窓の右に淡い黄緑色で「REVIVALCOLLECTIONEntertainment Best 20'60 〜'80 」とある。左下に白抜きゴシック体で小さく「角川文庫」。
 カバー背表紙、地色は表紙と同じ、上部の白地の部分にゴシック体で著者名、少し空けて「RC/●/1-1/名作発掘」●にゴシック体白抜きで「ま」、「名作発掘」の上下には第4回配本・第5回配本の帯にあるのと同じような淡い赤の矢印がある。
 黄緑色の部分の上部に明朝体太字白抜きで標題*3、最下部にゴシック体横並びで小さく「470/角川文庫」とあって、標題との間に右が上で横転した2行の淡い黄緑色で「REVIVAL COLLEC‥‥/ENTERTAINMENT B‥‥」とあるが下の方は分類票貼付のため見えない。
 カバー表紙折返しも地色は表紙・背表紙と同じ、上部の白地の部分に横組みで紹介文、顔写真はない。

松本清張(まつもと せいちょう)
1909年、福岡県生まれ。朝日新聞広告部時代/に、『西郷札』を発表。次作『或る「小倉日/記」伝』によって、52年、芥川賞を受賞。作/家として独立後、『点と線』『砂の器』『昭和/史発掘』『古代史疑』等々を上梓し、幅広い/分野で偉業を遂げた。92年、永眠。*4

とあって、2013年5月16日付「角川文庫の松本清張(7)」で見た「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」や2013年9月19日付「松本清張『野盗伝奇』(4)」で見た角川文庫7259『野盗伝奇』九版にあった紹介文をさらに簡略化したものである。黄緑色の部分には左下にゴシック体白抜き横組みで「カバー/駒井哲郎」とある。前回、この窓の中にこの「リバイバルコレクション」カバーに改装される以前のカバー表紙の一部が示されているらしい、と述べたのだが、だとすると未見でネットで画像検索してもヒットしないが、本書にも駒井氏装画の「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」カバーが存在したのであろうか。改版初版が発行されたと思しき時期は、確かに私の見た「MATSUMOTO SEICHO COLLECTION」カバーが掛かった本の、早い時期のものと重なるようである。
 改版五版及び改版六版の上部の顔写真及び紹介文は2013年7月26日付「角川文庫の松本清張(11)」で見た角川文庫9195『一九五二年日航機「撃墜」事件』再版のカバーに同じ。下部やや左寄りに1行「カバーデザイン片岡忠彦」とある。
 改版五版は平成20年(2008)6月刊行、改版六版は平成21年(2009)5月刊行だから、平成9年(1997)2月刊行の改版四版との時差、推測される片岡氏の活動時期からしても、改版三版まではまた別のカバーが掛かっていたはずなのである。
 Amazon詳細ページが「或る「小倉日記」伝 (角川文庫―リバイバルコレクション) [文庫]」というタイトルになっていることからも察せられるように、このページには「改版四版 (1997/02)」に際しての「リバイバルコレクション」の書影が表示されていたはずである。それを無神経に改版五版の書影に差し替えてしまったのだ。それならタイトルから「―リバイバルコレクション」の文字を抜いて「改版四版」ではなく「改版初版」もしくは現行の表紙が初めて掛かった「改版五版(2008/06)」と表示すべきだったのではないか。(以下続稿)

*1:「或」の下に「松」、「倉」の下に「張」。

*2:「日記」」の下。「伝」の下は余白。

*3:鍵括弧は半角。

*4:鍵括弧類は半角と全角の中間。