瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

角川文庫「感動の名作シリーズ」(1)

 平成10年(1998)前後に存在した角川文庫内のレーベル「角川文庫クラシックス」の目録については、3月2日付「角川文庫クラシックス」の目録(1)に2頁の目録について、3月13日付「角川文庫クラシックス」の目録(3)に22頁(推定)の目録について、既に整理して置いた。ここではその補足として角川文庫の文庫内レーベル「感動の名作シリーズ」について見て置きたい。
 「角川文庫クラシックス」の目録は、まず有島武郎から與謝野晶子まで日本人の著者(訳者)が50音順で並び、それからアンデルセン、ヴェルヌからワイルダーまで外国人が50音順で並ぶ。ところがそれで終わりではなく、児童文学作品が8人8点、最後にまた外国人が7人16点18冊並ぶ。これらは50音順ではない。
 このうち児童文学作品が「感動の名作シリーズ」なのであるが、元来は10点あって「角川文庫クラシックス」に組み込まれているのはそのうちの8点である。
・角川文庫3353『貝になった子ども』松谷みよ子・昭和四十九年十月三十日初版発行・平成三年十二月十日十一版発行・定価417円・262頁
 カバー裏表紙折返しに楷書体の太字・横組みで、以下のようにある。なお、丸数字は黒丸に白抜きだが文字化けするかも知れぬので白丸で代用した。

感動の名作シリーズ 全10冊
①まざあ・ぐうす     北原白秋
②牛をつないだ椿の木  新美南吉
星の牧場       庄野英二
④北極のムーシカミーシカ いぬいとみこ
⑤貝になった子ども   松谷みよ子
⑥木馬がのった白い舟  立原えりか
⑦ねこに未来はない   長田弘
ぼくがぼくであること 山中恒
⑨ベロ出しチョンマ   斎藤隆介
⑩魔法使いのチョモチョモ 寺村輝夫


 ④と⑥は「角川文庫クラシックス」の目録に見えないのだが、他はこの順番で目録に組み込まれている。
 カバー裏表紙の上部に「ISBN4-04-138901-1 C0193 P430E 定価430円」定価の下に薄いゴシック体で「(本体417円)」とある。
 このシリーズの時期であるが、⑩の「魔法」の上に小さくゴシック体で「<新刊>」とある。カバーと本体の時期に齟齬のあることも考慮に入れないといけないから速断は出来ない訳だけれども、このカバーが消費税導入後のものである以上、この「感動の名作シリーズ」が平成初年のものであることは確実で、未見だけれども問題の⑩『魔法使いのチョモチョモ』は平成3年(1991)12月刊で、まさに『貝になった子ども』十一版と時期を同じくしている。すなわち『貝になった子ども』は十版かそれ以前の版でこのシリーズのカバーに掛け替わり、さらに増刷されて十一版のカバーが用意されたことになる訳だ。
 今後、シリーズの他の本とともに注意して置きたい。
 Amazon詳細ページでも書影は示されないが、画像検索すると2種の書影がヒットする。青紫色地に青緑色の斑点を散らした中に、上部の黄土色の長方形に横組みで標題、左やや上部に紡錘形の黒に縦組みで著者名、左下の緑褐色のに縦組みで「角川文庫」。文字は全て楷書体太字白抜き。中央の正方形に黒を基調にした絵があって背景に緑の長い草、手前に色黒の眼の大きな少女の横顔、茶髪で紫色に白い縞の入ったストールのようなものを後頭部に被る。これは「感動の名作シリーズ」の仕様で、元来はこの絵が全面に描かれていたようだ。
 カバー表紙折返し、左上から右下まで曲線を描いてその右が表紙からの続きの青緑色の斑点を散らした青紫色地、右下隅に横組みで「カバーデザイン海野幸裕」●は○で囲われ、姓名はやや大きく明朝体太字。左側の白地の部分の横組みで紹介文、その最後に1行「カバー絵司修」●は○で囲われ、姓名はやや大きく明朝体太字。なお、この地柄は背表紙、裏表紙の上部を除いた大半、裏表紙折返しの左端にまで及んでいる。
 カバー背表紙には白抜きで上部に「C-5|貝になった子ども」とあり、中央やや下に著者名、下部に「角川文庫○430」○は小さい黒い枠線の白丸で中に「P」、その下の税込み定価は黒。カバー表紙にある文字は、同じ字体。
 カバーの一部と本体については「感動の名作シリーズ」でないカバーのものを見る機会があればその檻にでも比較してメモを取ることとしたい。ここでは奥付の匡郭下辺の左下に「C-5」とあること、最後に1頁6点で上部に飾り枠のある目録が8頁あって、1頁めは「名作」、2〜5頁め「ジュニア・コーナー」には「角川文庫クラシックス」にも収録される作品が多く見えていること、6〜8頁め「マイディアストーリー/MY DEAR STORY」にも2点、8頁めの3〜4点め「第三若草物語プラムフィールドの子供たち」「第四若草物語ジョーの少年たち」が「角川文庫クラシックス」の目録の最後に見えていることを指摘して置く。(以下続稿)