瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(134)

一柳廣孝 監修『知っておきたい 世界の幽霊・妖怪・都市伝説』(4)
 昨日の続きを抜いて置きましょう。

 また、「マント」それ自体への恐怖もこの都市伝説を生む原/因となった可能性がある。昭和初期の子供たちにとって、「マ/ント」は身近なものではなく、得体の知れないもの。さらに、/自分の体がすっぽりと覆われてしまう大きさへの恐怖も否定で/きない。子供たちが「マント」と聞くだけで恐怖を感じたとし/ても不思議ではないだろう。


 小学生のマントへの恐怖については、2013年12月16日付(56)加藤秀俊(1930.4.26生)の見解を引いて置きました。但し加藤氏は「‥‥、現実社会でマントが横行していた。あんまりマントが多いものだから、‥‥」と述べていて、ここの記述とは逆になっています。
 次の「体がすっぽりと覆われてしまう大きさへの恐怖」については、まだ傍証となる資料を挙げていませんでした。但し同時代資料ではありません。とにかくこうやって点検して見ると、いろいろと調べ落としていること、調べて写しを取っていながらそのままになっていることが少なからずあることに気付かされます。
 157頁の下部は「もっと知りたい」という横組みの囲みコラムで「バリエーション」と題されています。左に学生帽に耳まで裂けた口許から血を垂らし、鼻は高く目は血走っている横顔の長髪の若い男が、マントに包んだ自分の左腕に男児の首を抱え、男児は明るい色のやはり長髪で目を見開き口を開けて叫ぶようにして、両腕を怪人の腕の下から両方の頬の辺りに回して、腕をほどこうとしているイラストが挿入され、その右に次のようにあります。

 赤マント・青マントとよく似た話で「赤いちゃ/んちゃんこ・青いちゃんちゃんこ」「赤い紙・青/い紙」というものがある。聞かれる質問や結末な/どは大差ない。
 なぜこのようなバリエーションが生まれたのか/は明らかになっていないが、さまざまな噂や都市/伝説が合わさり各地に伝わっていったのではない/かと考えられている。
 あちらから呼びかけられるという点で、現実的/に、遭遇を避けることができない。そのことが、/子供たちの恐怖心をかきたて、噂が全国に広まる/ことになったのだろう。


 これでこの項は終わりなのですけれども、ここまで読んで、どうも、あるヴァリエーションに触れることを、巧妙に避けているのではないか、という、156頁の記述を読んだときに覚えた疑問を、どうにも抑えられなくなりました。次回は、まとめとしてそのことについて、確認して見たいと思います。(以下続稿)