瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

芥川龍之介『羅生門』の文庫本(15)

・角川文庫45『羅生門・鼻・芋粥』(5)
 2013年1月19日付(7)以降「黒田征太郎+K₂」のカバー表紙の改版四十一版・改版四十三版について述べたが、異なるカバーの改版四十一版を見ることが出来た。
【改版四十一版】昭和二十五年十月二十日初版発行・昭和四十二年十一月三十日五十九版発行・昭和六十二年二月二十日改版四十一版発行・定価340円・314頁
 黒田氏等のカバーに改装された時期は、それ以前のカバーの改版四十一版が存在することからして昭和62年(1987)と見当を付けられよう。そして、消費税導入の平成元年(1989)4月に改編されて「黒田征太郎+K₂」のカバー表紙のまま角川文庫7499『羅生門・鼻・芋粥』として刊行されているので、思えば「黒田征太郎+K₂」のカバー表紙の角川文庫45を短期間に行われたものであったのである。
 それはともかく、新たに見た改版四十一版に掛かっていたカバー表紙は2013年8月14日付「芥川龍之介『將軍』の文庫本(1)」で見た角川文庫1686『藪の中・将軍』改版二十三版と同じデザインで、文字は紺色・横組みで、中央上部に明朝体で大きく標題、その下に著者名、下部にゴシック体で「角川文庫」。
 カバー表紙折返し、上部に横組みで「羅生門・鼻・芋粥」とゴシック体で題し、続いて明朝体9行(1行17字)の紹介文。今、手許にある角川文庫7499『羅生門・鼻・芋粥』再版・七版の紹介文(1行16字)と比較するに、読点が「,」から「、」に、1段落め(4行→5行)では冒頭1字下げでなかったのが1字下げしており、誌名の鍵括弧が全角で作品名の鍵括弧が半角となっていたが角川文庫7499では全て半角になっている。改行位置を「/」で示し、参考までに角川文庫7499の改行位置を「|」で示した。

大正五年,東大在学中の芥川は,|久米/正雄・菊池寛らと創刊した第四|次「新/思潮」に「鼻」を発表,漱石の賞|賛を得,/異才はにわかに文壇の脚光|を浴びた。*1
『今昔物語』に取材の表題作のほか,/|この期の作品二十余篇を収録,人生の/暗黒を見つめる理知と清新な|抒情,卓/抜な虚構と明晰な文体は,す|でにゆる/ぎない作風を完成している。*2


 2段落め(5〜9行め→6〜9行め)は冒頭が書名『今昔物語』なので1字下げなし、角川文庫7499ではこの段落の読点は全て半角となっている。6行めの太字の灰色にしたところは、角川文庫7499は収録作品を減らしたこともあって省略している。下部は2013年9月13日付「角川文庫の「月刊カドカワ」の広告(1)」の①があってその下、右寄りに「カバー 森 慶文」とあるのは角川文庫1686『藪の中・将軍』改版二十三版に同じ。
 カバー背表紙・カバー裏表紙折返しは、「黒田征太郎+K₂」のカバー表紙の改版四十一版に同じ。
 今回、改めて過去の記事を見て行って、本体の比較が2013年1月22日付(10)の、三好行雄「作品解説」で滞ってしまったままになっていたのを、すっかり忘れていたことに気付かされた。続ける準備は出来ていないのでここでは、奥付以降で異同がありそうなところだけメモして置く。奥付では「印刷所――新興印刷 製本所――千曲堂製本」、巻末の目録は「角川文庫目録 現代日本文学(緑帯)1985年8月」の(2)頁(3)頁と1頁10点の「角川文庫 最新刊」の(49)頁(50)頁の計4頁。

*1:角川文庫7499にルビ「あ」。

*2:角川文庫7499にルビ「じょじょう・めいせき」。