瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

森鴎外『舞姫』の文庫本(12)

・角川文庫704『舞姫うたかたの記』(8)
 昨日の続きで、改版三十五版の東宝提供写真のカバーについて、主に改版三十四版と比較しつつメモして置く。改版三十四版については2013年4月21日付(09)にメモして置いた。
 カバー背表紙は淡い橙色地で、改版三十四版のカバーに比して黄色が抜けているようだが褪色もあるか。最上部に小さくゴシック体で「も|1-1」とあって秀英初号明朝で標題「舞姫うたかたの記」中央やや下に一回り小さな秀英初号明朝で著者名「森 鴎外」とあるのは一致。東宝カバーは1.5字分空けてゴシック体で小さく「緑/3-1」とある。この分類番号が表示されなくなった時期が分かれば、改版三十四版のカバーの時期の見当が付けられる訳だ。下部は改版三十四版のカバーと同じらしいが、ゴシック体で「角川文庫」とある下が分類票貼付のため見えない。
 カバー裏表紙・カバー裏表紙折返しは一致。
 カバー表紙折返しも最下部右寄せの「カバー写真/東宝提供」の1行が改版三十四版のカバーでは「カバー 奥村靫正」に変わっている*1他は、上部の紹介文や下部の「野性時代」の広告も一致。
 カバー表紙には映画の写真が使用されているのだが、「舞姫 角川文庫」或いは「舞姫 郷ひろみ」で画像検索しても、文庫本のカバーは全く引っ掛からない。2011年3月6日付(01)に貼ったDVDのパッケージに使用されている写真に同じで、これは公開当時のパンフレットやちらしにも使用されていた。
・パンフレット

 これら*2と比較するに、文庫本では中央下部に郷ひろみが位置するように配置されており、その左側にヒロインの横顔と背後の扉とその上の明るい半円形の窓、下は黒い闇で右下隅・左下隅ともにパンフレットやちらしと同じく90度の直角。
 右側は郷ひろみの背景の、ドームの載った塔のある教会の、入り口の右3つめの窓まで、その前の馬は左前足までで切れている。ヒロインの横顔の左には殆ど余裕はなく、舞台上の右端の踊子の真横に延ばした左腕と、馬車に乗る敵役の角野卓造の顔までで切れている。カバー表紙折返しにその続きが若干、踊子の右腕を除く部分、そして角野卓造と同車している佐野史郎の顔が入っている。
 上部は踊子の足がかすかに入り込んでいるだけ。右上部に隷書体横組みで「舞姫|うたかたの記/森 鴎外」とあり、下部中央やや右寄りにゴシック体横組みで「角川文庫」とある。映画の題字は使用されていない。
 本体の異同は奥付の縦組みの最初の3行、改版三十四版は「昭和二十九年 六 月三十日 初 版 発 行/昭和四十二年 七 月三十日 三 十 版 発 行/昭和六十三年十二月二十日 改版三十四版発行」であったが改版三十五版は「昭和二十九年六月三十日 初 版 発 行/昭和四十二年七月三十日 三 十 版 発 行/平成 元 年三月三十日 改版三十五版発行」と組み直されていることと、匡郭下辺の下、左寄せで「も 1-1」が追加されていることのみである。(以下続稿)

*1:ともにゴシック体だが改版三十四版の方が文字が太い。

*2:最も鮮明な画像が表示されるので、原稿作成時にちらしのリンクも貼って置いたのだが、投稿して見るとリンクしていない。よって削除した。Amazonで「舞姫 郷ひろみ」とでも入れて検索すれば表示される。【2016年1月2日追記2016年1月1日付「森鴎外『舞姫』の文庫本(14)」に貼付した。