瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

北杜夫『楡家の人びと』(5)

新潮文庫(3冊)(3)
 最近開館した2つの図書館で3冊本セットを借りて来た。開館に合わせてセットで購入したはずだが、刷次が異なっている。
 3冊本の増刷状況は、以下の通り。
・平成二十三年七月五日発行(第一部・第二部・第三部)
・平成二十三年十一月十五日三刷(第一部・第三部)
・平成二十三年十一月三十日四刷(第一部*1・第二部・第三部)
・平成二十四年一月五日五刷(第一部・第二部・第三部)
・平成二十五年四月五日六刷(第一部*2・第二部)
・平成二十五年四月二十五日六刷(第三部)
 今のところ二刷は未確認だが、五刷まで3冊同時に増刷されているようだ。従って、某区立K図書館本のように全て初刷で、或いは某区立中央図書館本のように全て五刷で揃っていて良さそうなものなのに*3、何故か異なるのである。
・N図書館本 裏表紙折返しは一致 本体=三刷・初刷・三刷
・T図書館本*4 裏表紙折返しは一致 本体=四刷・初刷・三刷
・N分室本 裏表紙折返しは一致 本体=五刷・初刷・四刷
 これまで、カバーの異同として着目して置いた箇所は以下の通り。
・裏表紙折返し(3冊とも)初刷=12点 三刷〜五刷=13点 六刷=14点
・第一部の表紙折返し著者紹介文 初刷存命 三刷〜=没後
・第二部の裏表紙内容紹介文 初刷〜四刷=「関東大震災」五刷〜=「失火」
 第二部は現在、四刷と並べている。3月29日付(4)で異同を指摘した箇所について見ると、カバー裏表紙折返しはN図書館本・N分室本と一致で13点15冊。初刷は12点14冊だったから両方とも掛け替えられたものであることが分かる。裏表紙右上の紹介文の1行め、四刷とN図書館本は「関東大震災による建物の消失、‥‥」となっていて、両者は一致する。N分室本は「豪壮な建物の失火による焼失、‥‥」となっており、五刷・六刷のカバーと一致する。
 すなわち、第二部のカバーに限って云うと、四刷までに裏表紙折返しが12点から13点に、そして五刷で裏表紙の紹介文が訂正され、六刷で裏表紙折返しが14点に、という流れで変化している。
 しかるにこれら2つのセットは、本体は初刷でありながら、1つはカバーだけは四刷(三刷も同じか)と同じで第一部・第三部は三刷、もう1つはカバーは五刷と一致していて第一部の五刷と第三部の四刷と抱き合わされている。第二部だけだぶついて返品され、カバーを掛け替えて再出荷、などということがあるのだろうか。
 初めの方の巻の刷増し数と、後の巻のそれがズレていることは、良くある。例えば2冊本の新潮文庫1966『楡家の人びと(上)』と新潮文庫1967『楡家の人びと(下)』でも、初刷は「昭和四十六年五月二十五日発行」で同時だったが、②改版の時期は11ヶ月ズレており、その上、刷次が3つもズレている。
・(上)平成六年二月二十五日四十七刷改版
・(下)平成七年一月二十日四十四刷改版
 以後、私の見たものを並べて見ても、上と下のズレは、最大6つまで拡大している。
・(下)平成八年三月五日四十五刷*5
・(上)平成九年三月五日五十刷*6
・(上)平成十三年一月二十五日五十三刷*7
・(下)平成十三年十一月三十日四十九刷*8
・(上)平成十六年十月三十日五十六刷
・(下)平成十六年十一月三十日五十一刷
・(上)平成十八年二月十五日五十七刷
・(下)平成十八年三月二十五日五十二刷
・(上)平成十八年十二月三十日五十八刷
 動画サイトでも、分割された動画の再生数は第1回が多く、第2回でがくんと落ちて、最終回に掛けて次第に減って行くのが普通である*9
 しかるに、たまたま2箇所で見た開館準備中に一括購入したはずの3冊セットが、ともに第二部だけ初刷だったのである。第二部がそんなに余ったのなら、増刷の頻度がもう少し違っても良さそうなものだが、五刷までは3冊とも同じ日で、六刷で漸く増刷日がズレたものの第二部と第三部は同じ月の上旬と下旬なのである(第一部は未見)*10。かと思えば五刷で3冊揃っている館もあり、三刷・六刷・六刷でそれぞれに相応のカバーの掛かっている3冊が収まっている館もあった*11
 なかなか合理的な説明は付きそうにないが、気になったのでメモして置いた。

*1:2016年7月17日追加。

*2:9月6日追加。

*3:9月6日追記】別の区の中央図書館で、全て六刷で揃っているのを見た。

*4:2016年7月17日追加。

*5:2016年7月18日追加

*6:2016年7月18日追加

*7:2016年7月18日追加

*8:2016年7月18日追加

*9:動画のサムネイル画像が入浴シーンだったりすると(俗に云う「サムネホイホイ」)その回だけ再生数が伸びてしまうことは、あるけれども。

*10:9月6日追記】第一部の六刷を見たので抹消して置く。

*11:この場合は、出荷時期が異なるということになろう。版元とは関係なしに本を納入した業者が増刷時期のズレるものを抱き合わせたことになる。一方、N図書館とN分室の第二部は本体は初刷なのに三刷もしくは五刷に際してのカバーが掛けられている、すなわち出荷時期に合わせてカバーを掛け替えたことになるので、カバーを掛け替えることの出来る人間、つまり版元が関与していることになる。そうすると、第二部にそれだけ未出荷もしくは返本再出荷の初刷が存在したことになるので、それは何故なのだろうか、という疑問が湧いてしまう訳である。どうでも良いような疑問なのではあるが。