瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

二葉亭四迷『浮雲』(2)

新潮文庫279(2)
 5月11日付(1)の続き。
 本体について、②の諸刷を比較してみるに、214頁まで一致。
 ②六十七刷「文字づかいについて」は「六」項目、②七十八刷・八十刷「文字づかいについて」は同版で「四」項目。
 奥付の前に目録8頁、うち最後の3頁が「新潮文庫最新刊」。②六十六刷・六十七刷・七十八刷は初めの5頁一致。②七十八刷と八十刷を比較するに、1頁めは1つめ「二葉亭四迷 平凡」が「林 芙美子著 新版 放浪記」に、3つめ「高山樗牛 滝口入道」が「中島敦 李陵・山月記」になっている他の4点は一致。2頁めは初め5点は森鴎外、6点め尾崎紅葉金色夜叉』で一致、3頁めは夏目漱石6点、4つめの「明暗」が七十八刷には「(全二冊)」と添えてあるが八十刷にはない。3行(1行20字)の紹介文は七十八刷では次のようであった。

明治の知識階級に蔓延した立身出世主義の具/現者であるひと組の夫婦を中心に、エゴイズ/ムとそれからの脱却を追究した未完の絶筆。


 これが、八十刷では以下のように改められている。

妻と平凡な生活を送る津田は、かつて将来を/誓い合った人妻清子を追って、温泉場を訪れ/た――。近代小説を代表する漱石未完の絶筆。


 4頁めは島崎藤村6点、4つめの『破戒』の紹介文の一部、1〜2行めが七十八刷「部落民という自分の素性を明かし/た」が八十刷「被差別部落出身という出生を明か/した」と改められ、3行目の読点がなくなっている。また6つめが「新生/(全二冊)」が「千曲川のスケッチ」に差し替えられている。
 5頁め、田山花袋2点、国木田独歩2点、3つめの『武蔵野』の紹介文の末尾「初期の名作17編を収録。」となっているが新潮文庫60『武蔵野』に収録する篇数については2013年3月16日付「國木田獨歩『武藏野』の文庫本(1)」に少し触れたがまだ細目を示していなかった。最後に有島武郎2点、『惜みなく愛は奪う』は6つめにあったが5つめに移っている。七十八刷は5つめに「或る女/(全二冊)」、八十刷の6つめは『小さき者へ生れ出づる悩み』。
 奥付、②六十六刷・六十七刷の異同はそれぞれの発行日のみ。「電話〈業務部/編集部〉」で番号の「(〇三)二六六―」は一致、下4桁「五一一一/五四四〇」これが②七十八刷では市外局番の次が「三二六六」になっている。下部の横線2本に挟まれた横組み、中央揃えで「○ 印刷株式会社金羊社  製本・憲専堂製本株式会社/Printed in Japan」○の中に「金」の字、最下部にカバー裏表紙に同じISBNコードとCコード。七十八刷は「印刷・株式会社三秀舎 製本・加藤製本株式会社/Printed in Japan」
 ②七十八刷・八十刷はレイアウト同じ、異同はぞれぞれの発行日、「電話〈営業部/編集部〉」→「電話〈編集部/読者係〉」編集部の番号は同じ、営業部と読者係の番号同じ。「振替 東京四―八〇八番」→「振  替  〇〇一四〇―五―八〇八」。(以下続稿)