・女性編集者への対応(1)
前回見た、女性編集者に関する記述は、健史の登場する場面と合わせて、もう少し詳しく見て置いた方が良いであろう。
第一章2、単行本頁行め・文庫版9頁2〜4行め、
今日、出版社の編集者と名乗る若い女性が家へやってきて、こんどの本の打ち合わせ|をしましょうと言った。
まえまえからわたしは、次の本の構想について話してあったからだ。
第一章1が書かれたのはこの打合せの前なのか、それとも後なのか分からないが、「この本は、「家事読本」ではない、と」宣告している。けれども打合せ(第一章2及び4)は前回書いたように食い違って終っている。「話してあった」という「構想」もどの程度であったのか、疑問である。
果ては「コンセプト」という「カタカナ英語」を使ったことで「うまくやっていけないのではないかと感じ始めた」り、「テープに録音して欲しい」という要求を「書くことを決めてからいたしますの一点張り」で突っぱねられて「これでは話にもならない」と呆れたりする。「お書きになりたいことって、自分史みたいなことでしょうか」の「自分史、がもうわからないで困る」と文句を云う。「自分史」が日本語としてどうか、などという問題は、この編集者に言ってみても仕方がない。
「自分史」は歴史家色川大吉(1925.7.23生)が“元祖”を名乗っている。
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ここまではタキにノートを執筆させる動機付けで、編集者と決裂しないと好き勝手に書く、ということにならないから、こうしているのだろうけれども、正直なところ私も「いらいら」した。それだのに後々まで女性編集者への期待を書いているタキに、すなわち出版社から出してもらえると考えていたらしいタキに、健史から「ジヒシュッパンするしかないでしょ? 家事読本で儲かったんだし」の一言くらいあっても良さそうなものだ*1と思ってしまうのである*2。
それはともかく、女性編集者は「なにを書いたらよいかわからない」タキに、後日、この類の本を送ってやれば良かったのだ。自社の出版物でないと不味いのかも知れないけれども。(以下続稿)