瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

織田作之助「續夫婦善哉」(3)

 昨日の続き。
・完全版雄松堂出版主婦の友社)四六判並製本

夫婦善哉 完全版

夫婦善哉 完全版

【初版】2013年8月10初版発行©・定価1200円・217頁
 カバーの用紙は上製本が布目を摺り出しているのに対し、並製本は光沢のあるアート紙である。
 カバー背表紙、上製本は表紙と同じ標題が縮小されて上部に入る。並製本も白抜きだが楷書体である。その下に橙色の楷書体で「完全版」とあるのは同じ。下部に白抜き明朝体で「織田作之助 」とあり、最下部に横組みのゴシック体白抜きで上製本は「雄松堂」、並製本は「主婦の友社」。
 カバー裏表紙は紫色で、上製本は左上の白い縦長の長方形(6.1×4.4cm)に、上からバーコード2つとISBNコード/Cコードに「\1800E」/定価(本体1,800円+税)」を並べる。並製本は横長の白い長方形(4.5×7.6cm)の左にバーコード2つ、1つめのバーコードの右側上部にISBNコード/Cコードに「\1200E」、2つめのバーコードの右側に「定価:[本体1200円]/※消費税が加算されます雄松堂出版(発行)主婦の友社(発売)」とある。
 上製本は橙色のカバー表紙折返し右下に黒の明朝体で小さく縦組みで「挿画 寺司勝次郎「明治時代の流川名残橋付近」としてあったが、並製本は紫色のカバー裏表紙折返し左下にゴシック体白抜き縦組みで「挿画 寺司勝次郎「明治時代の流川名残橋付近」としてある。上製本並製本とも折返しは同じ地色になっており、他に文字はない。
 ところでカバーなのに「装画」ではなく「挿画」としてあるところが気になるが、寺司勝次郎(1927生)の同じ絵は1頁(頁付なし)「夫婦善哉」の扉の前、「目次」の次の1枚、上部に「夫婦善哉/続夫婦善哉」とした中扉の下部にその全部が示されており、裏の下部に「挿画 寺司勝次郎」とある。他に挿画はない。寺司氏は版画家だけれどもこの絵はペン画のようである。
 本体の異同であるが、まず扉の中央に、それぞれのカバー表紙と同じ文字で入っている。ちなみに扉の文字は全て黒で、左下に明朝体で「雄松堂出版」とあるのは同じだが、右上の「織田作之助 」は上製本が標題に寄っていたのを並製本は右側にずらしている。
 アート紙の口絵は一致。「目次」も一致(裏は白紙)。次に既に述べた中扉、1頁(頁付なし)が「夫婦善哉」の扉で、本文は3〜58頁。59頁(頁付なし)「続夫婦善哉」の扉、61〜95頁本文。97頁(頁付なし)が「織田作之助 直筆原稿」の扉で、99頁(頁付なし)がまた「続夫婦善哉」の扉、100頁(頁付なし)は左下に縦組み下詰めで「川内まごころ文学館所蔵/〔52パーセント縮小〕」とあり、101〜199頁まで原稿(99枚)の写真。100引けば何枚目かがすぐ分かる。201〜217頁「解説」、頁付があるのはここまでで、口絵から217頁の裏の凡例に当たる3箇条まで、上製本(第三刷・第四刷・第五刷)と並製本は一致。
 奥付が上製本は縦組みであったのが並製本は横組みとなっている。
 凡例はともかくとしても、奥付に上製本のことは何にも書いていないのは疑問。同じ内容の本が既に発行されていたこと、その版をそのまま流用して何らの改訂も加えていないことは、きちんと断っておくべきではないのか。(以下続稿)