瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

遠藤周作『作家の日記』(4)

 泥縄式でやっているので順序が前後してしまうが、遠藤氏のストロンボリ島の噴火目撃は、もちろん日記に書いたのが一番早いはずだが、滞仏中に既に発表したものがあった。
・『ルーアンの丘』1998年9月25日第1版第1刷発行・定価1,238円・PHP研究所・213頁・四六判上製本

ルーアンの丘

ルーアンの丘

 遠藤氏の没後に、まだ単行本に収録されていなかったフランス留学中の旅行記と、留学中の日記の、『作家の日記』刊行時に公開されなかった期間を抱き合わせて刊行したもの。
 前者、7〜130頁「赤ゲットの佛蘭西旅行」は、奥付の前の頁(頁付なし)に、

「赤ゲットの佛蘭西旅行」は、昭和二十六年十一月から翌年七月まで「カトリッ/ク・ダイジェスト」に連載されたものをまとめたものです。

とあって、9章に分かれており、この通り連載されたのであろう。扱っている時期はフランス留学が決定した「昭和二十四年の春」から昭和25年(1950)9月11日にルーアンを出発するまでである。標題に採用された「ルーアンの丘」は(もちろん著者本人の与り知らぬものなのだが)9章めの最後の節の題である。
 後者、131〜194頁「滞仏日記(一九五二年九月〜一九五三年一月)」が、昭和27年(1952)9月から昭和28年(1953)1月の離仏までだから、この1冊で遠藤氏のフランス留学の、最初と最後を窺うことが出来る訳である。
・『遠藤周作文学全集』第十五巻 日記 年譜・著作目録(二〇〇〇年七月一〇日発行・新潮社・394頁・A5判上製本

遠藤周作文学全集〈15〉日記 年譜・著作目録

遠藤周作文学全集〈15〉日記 年譜・著作目録

 書影は函で未見。奥付に「価格は函に表示してあります。」とのことで、図書館蔵書では価格も分からない。これに初めて、7〜224頁「作家の日記(一九五〇年六月〜一九五二年八月)」と225〜256頁「滞仏日記(一九五二年九月〜一九五三年一月)」とが、並べて収録されている。
 329〜388頁「年譜・著作目録」の「一九五三年 昭和二十八年 三十歳」条に、340頁上段8〜10行め、

‥‥。四月、ヘルツォーク神父に代わっ/て「カトリック・ダイジェスト」の編集長となり、同誌に/「続・赤ゲットの佛蘭西旅行」を連載する。‥‥

とあるが、これは同誌終刊のため、22〜23行め、

続・赤ゲットの佛蘭西旅行 カトリック・ダイジェスト 四/ 月号〜十二月号(未完)

に終わった。単行本にも収録されていないらしい。
 「赤ゲットの佛蘭西旅行」も『遠藤周作文学全集』には収録されていない。(以下続稿)