瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『斜陽』の文庫本(20)

・角川文庫26(4)
 今、手許に九十二版・九十三版・百十三版がある。但し九十二版と九十三版の本体は前回指摘したように殆ど一致するので、九十二版と百十三版の本体を比較して見る。
 1頁(頁付なし)扉、単郭(11.5×7.7cm)と子持枠(4.5×4.8cm)の寸法はほぼ同じだが、九十二版・九十三版の単郭の四隅は空いているが、百十三版は隙間がない。子持枠の中の文字と鳳凰は同じ。
 2頁(頁付なし)白紙。3頁から本文。

九十二版 百十三版
3-1〜28-2 |3-1〜30-2
28-3〜52-16 |30-3〜56-13
52-17〜76-17 |56-14〜82-7
77-1〜95-10 |82-8〜102-6
95-11〜123-18 |102-7〜132-12
124-1〜147-6 |132-13〜157-15
147-7〜161-12 |158-1〜173-9
161-13〜165-8 |173-10〜177-9

 章番号は2行取り7字下げゴシック体半角漢数字、「一」の前のみ1行分空白。
 九十二版は1頁18行、1行43字。百十三版は1頁17行、1行42字。
 巻末掲載の石川淳太宰治昇天」は、2012年8月5日付(09)にも触れたように「斜陽」の解説として書かれた文章ではない。

九十二版 百十三版
166-2〜169-4 |178-2〜181-3
169-5〜173-9 |181-4〜185-6
173-10〜178-7 |185-7〜190-1

 1行めは題。末尾は1行分空けて上寄せで「昭和二十三年六月」、次の行は下寄せで「石 川 淳」とある。
 奥付のレイアウトは同じだが、九十二版は単郭(11.7×7.5cm)の四隅が空いており、子持枠(4.5×4.8cm)の四隅も隙間やズレが出来ている。百十三版は単郭(11.6×7.6cm)子持枠(4.6×5.0cm)とも隙間はない。
 子持枠の中は横組みで、扉と同じ文字と鳳凰。扉と九十二版・九十三版は「斜陽」と文字が詰まるが、百十三版は「斜 陽」と空けてある。振仮名はそれぞれの文字の上に「しや」「よう」。その下の著者名「太宰 治」の字配りは同じだが、振仮名は「だ」は「太」の真上にあるが、九十二版・九十三版「宰 治」の上に「ざいおさむ」とあって感じの右にはみ出していないが、百十三版は「ざい おさむ」がそれぞれの文字の真上に中央が来るように組まれているため、右に若干はみ出している。
 下部の縦組み、異同はそれぞれの発行日、「発行者――」が九十二版・九十三版「角川春樹」が百十三版「角川歴彦」に、電話〈編集部/営業部〉の市外局番(〇三)の下は九十二版・九十三版「二三八」が百十三版「三八一七」に、下4桁が「―八四五一/―八五二一」であるのは一致。次の行、九十二版・九十三版「〒一〇二 振替東京③一九五二〇八」、百十三版は横長に縮めて「〒一〇二 振替〇〇一三〇―九―一九五二〇八」。次の2行、九十二版「印刷所――新興印刷 製本所――文宝堂製本/装幀者――杉浦康平」のうち異同は「製本所――」のみで、九十三版「千曲堂製本」百十二版・百十三版「大谷製本」百十五版「本間製本」。断書きは九十二版・九十三版は「落丁・乱丁本はお取替えいたします。/定価はカバーに明記してあります。」の2行で、少し空けて「Printed in japan」横転。百十三刷は「本書の無断複写・複製・転載を禁じます。/落丁・乱丁本はご面倒でも小社角川ブック・サービス宛に/お送りください。送料は小社負担でお取り替えいたします。」少し空けて1字下げで「定価はカバーに明記してあります。」とある。
 匡郭下辺の下、右寄りにカバー裏表紙と同じISBNコードとCコードがあるのは同じ。九十二版・九十三版はそれだけだが、百十三版は左寄りに「た 1-4」とあり、下辺の右上(匡郭内)にも横組みで「©Printed in Japan」とある。
 奥付の裏は「角川文庫発刊に際して」で、双郭の寸法は九十二版は10.9×7.1cm、百十三版は11.2×7.5cm。
 百十三版はここまでだが、九十二版・九十三版には前回述べたように目録がある。(以下続稿)