瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

夏目漱石『虞美人草』の文庫本(2)

新潮文庫252(2)
 昨日からのカバーの比較の続き。
 カバー裏表紙、②は上部の、上下に横線(9.3cm)で挟まれた間(6.6cm)の右側に、以下の紹介文がある。

豊かな詩才にめぐまれ、傲慢で虚栄/心の強い美しい女性藤尾は、その濃/艶な魅力で温厚な秀才小野の心を惹/きつける。小野はやがて藤尾の遊戯/的な愛に気付き、古風でもの哀れな/恩師の娘小夜子と結婚する。小野の/裏切りにより、ついにすべてを失っ/た藤尾の破局に向う悽愴な姿を通し/て、道義の中に人間の真の生を追究/し、現代人の心をも激しくゆさぶる/問題作である。


 中央の横線の下、五十六刷は中央に葡萄マーク。ゴシック体で小さく左下隅に「0193-101010-3162」右下隅に「¥ 280」。七十五刷は横線の下に「ISBN4−10−101010−2 C0193 ¥320E 定価320円」とあってその下、中央に葡萄マーク。
 ③のカバー裏表紙は一致している*1。以下、④と比較しつつ述べて見る。
 ③で最上部の横線はなくなって、余白だった左上にはバーコードが2つある。1つめは「97841010106」で④も同じ。2つめは③は「1920193001762」④百十四刷改版「1920193005141」、その下、中央の横線の上に③「定価本体476円(税別)」④百十四刷改版「定価本体514円(税別)」。右上の紹介文は③では以下のように改められている。

大学卒業のとき恩賜の銀時計を貰っ/たほどの秀才小野。彼の心は、傲慢/で虚栄心の強い美しい女性藤尾と、/古風でもの静かな恩師の娘小夜子と/の間で激しく揺れ動く。彼は、貧し/さからぬけ出すために、いったんは/小夜子との縁談を断わるが……。や/がて、小野の抱いた打算は、藤尾を/悲劇に導く。偽りの生き方が生む道/義の失墜、人間の堕落を追究し、現/代人の心をも激しくゆさぶる問題作。


 ④の紹介文は組み直されているが8行めまでは③に一致。残り3行が以下のように改められている。

悲劇に導く。東京帝大講師をやめて/朝日新聞に入社し、職業的作家にな/る道を選んだ夏目漱石の最初の作品。


 中央の横線の下、左寄せで、③は「ISBN4-10-101010-2C0193 \476E」④百十四刷改版は横線の下が小さくなって左寄せ「ISBN978-4-10-101010-6C0193 \514E*2。右寄せで葡萄マーク。
 カバー裏表紙折返し、②は2012年3月11日付「夏目漱石『硝子戸の中』の文庫本(1)」で見た新潮文庫373『硝子戸の中』五十七刷(その後確認した四十七刷・)や、2012年7月26日付「夏目漱石『漾虚集』の文庫本(01)」で見た新潮文庫382『倫敦塔・幻影の盾』四十六刷に同じ。③百一刷は2012年2月28日付「夏目漱石『坊っちゃん』の文庫本(02)」で見た新潮文庫92『坊っちゃん』百十刷・百十二刷、2012年3月12日付「夏目漱石『硝子戸の中』の文庫本(02)」で見た新潮文庫373『硝子戸の中』八十二刷・八十四刷に同じ。安野氏のカバーは3月20日付「夏目漱石『それから』の文庫本(7)」で見た新潮文庫44『それから』③百二十七刷と④百三十六刷改版と同じで、③は下部の「*」が2行取りであったが、④は1行分になっている。(以下続稿)

*1:2015年1月4日追記】④百十四刷改版に際してなされたものと思っていた改変が、既に③百十二刷の時点でなされていたことが判明したので、この書き方は正確ではないが、しばらくそのままにして置く。

*2:2015年1月4日追記】③百十二刷も小さい文字で1行めは④百十四刷改版に一致、2行めは③の諸刷に同じ。