瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

森鴎外『雁』の年齢など(2)

 2011年1月1日付(1)に言及した高峰秀子主演の映画がDVDになっていた。その少し前には若尾文子主演の映画もDVDになっている。
高峰秀子主演 昭和28年(1953)9月15日公開 監督 豊田四郎(1906.1.3〜1977.11.13)

雁 (1953) [DVD]

雁 (1953) [DVD]

若尾文子主演 昭和41年(1966)5月21日公開 監督 池広一夫(1929.10.25生)
雁 [DVD]

雁 [DVD]

 どちらも見ていないが、そのうち見ることにして、ここでは配役についてその年齢を確認して置きたい。
 ついでに井出薫主演の「文學ト云フ事」第5回も、加えて置こう。
・平成6年(1994)5月10日放映 演出 片岡K
 前回確認したように物語の時代は明治13年(1880)で年齢は当然のことながら数えである。役者については公開時の満年齢を示して置く。
お玉
 十九歳。高峰秀子(1924.3.27〜2010.12.28)は29歳。若尾文子(1933.11.8生)は32歳である。井出薫(1976.12.15生)は17歳、高校3年生で原作通り数え十九歳。
お玉の父
 六十三歳。映画では善吉という名前になっている。高峰秀子の父役は田中栄三(1886.11.3〜1968.6.13)66歳。若尾文子の父役は伊井友三郎(1899.3.15〜1971.8.13)67歳。
末造
 四十過ぎ。高峰秀子の檀那役は東野英治郎(1907.9.17〜1994.9.8)45歳。若尾文子の檀那役は小沢栄太郎(1909.3.27〜1988.4.23)57歳。井出薫の檀那役は桜金造(1956.12.29生)37歳。
岡田
 鴎外と同期に卒業した人たちを参考にすると二十代半ばになろう。年齢詐称して入学した鴎外はお玉と同年である。芥川比呂志(1920.3.30〜1981.10.28)33歳は、高峰秀子との年齢差はほぼ4歳。山本學(1937.1.3生)29歳は若尾文子より3歳余年下である。袴田吉彦(1973.7.16生)20歳は井出薫より3歳年上。
お梅
 お玉が家に置いて「臺所で子供の飯事のやうな眞似をさせてゐる」*1(七二5〜6)「梅と云ふ、十三になる小女」*2(七二5)すなわち2014年6月3日付「中島京子『小さいおうち』(2)」で見た、布宮タキみたいな女中である。慶應四年=明治元年(1868)生である。高峰秀子が使っているのは小田切みき(1930.6.29〜2006.11.28)23歳で、お玉役とお梅役の年齢差が6歳であるのは合っている。若尾文子が使っているのは姿美千子(1945.5.28生)20歳、若尾氏に比べれば「小女」だけれども。2人とも「文學ト云フ事」のお玉役よりも年上である。

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 今度は実際に見た上で印象を述べたい。他の配役についても補って見たいと思う。(以下続稿)

*1:ルビ「だいどころ・こども・まゝごと・まね」。

*2:ルビ「うめ・い・じふさん・こをんな」。