瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

鳥越信『子どもの替え歌傑作集』(2)

 単行本との異同については平凡社ライブラリー版271〜272頁、「二〇〇五年一月」付の「平凡社ライブラリー あとがき」に、271頁7〜12行め、

 平凡社ライブラリー化にあたっては、読者から寄せられた情報や、私自身がこの間に調査し/たことなども踏まえて、不明だった点やまちがいを正し、新しい替え歌も追加することができ/た。
 また前回と同様、著作権の問題については平凡社におまかせしたが、単行本に掲載できなか/った七作品については今回も見送らざるをえなかった。さらに新しく、著作権者の移動によっ/て、三編の元歌を割愛せざるをえなかった。‥‥

とあって、かなり細かく手を入れてあるらしいことが察せられる。

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・まえがき(1)
 昨日の続き。まず「まえがき」の冒頭の1段落(11頁2〜3行め)を抜いて見よう。単行本は

 「学校怪談」がちょっとしたブームになっている。子ども向けの本はもちろんだが、大人向/きにも何冊もの文庫本が出ているほかに、映画にもなった。

となっていたのが、平凡社ライブラリー版では、

 何年か前に「学校怪談」がちょっとしたブームになった。子ども向けの本はもちろんだが、/大人向けにも何冊もの文庫本が出ているほかに、映画にもなった。

と過去の話になっている。
 「学校怪談」というのは「学校の怪談」という名称が一般化する前に使用されていた(殆ど一般化しなかった)術語である。次の段落の、鳥越氏の説明(11頁4〜8行め)を抜いて置こう。引用は単行本により、平凡社ライブラリー版の改行位置を「/」で示し、書き換えられている箇所は灰色太字で示して平凡社ライブラリー版での書換えを注記した。

 「学校怪談」というのはそれぞれの学校に伝わる怖いお話のことで、学校といっても幼稚/園・\保育園から大学まであるが、今はやっている*1のは主として小学校・中学校を舞台にしたも/のだ。\無人音楽教室で真夜中にピアノが鳴ったり、トイレに入ると白い手がのびてきてお尻/にさわ\ったり、といったような話で、このたぐいの話はどの学校にも一つや二つは必ずあった/はずだ\から、だれもが子ども時代には聞いたことがあったにちがいない。


 鳥越氏が「学校怪談」を持ち出したのは、子供たちの「学校怪談」が昔話などの古くからの「民話」に対する「現代の民話」であるとするなら、古い「民謡」に対する「現代の民謡」もあるはずで、「子どもの替え歌」はその中で、「現代のわらべ唄」として位置付けられるのではないか、という主張の導入にするためなのである。(以下続稿)

*1:平凡社ライブラリー版「はやっていた」