瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

鳥越信『子どもの替え歌傑作集』(4)

・まえがき(3)
 16頁に鳥越氏は、単行本2〜3行め・平凡社ライブラリー版1〜2行め「‥‥。一方で、文献に残ったもの\につ/いても調べたが、私の目にとまったのは、以下のような本である。」として、単行本には(J)までの10点、平凡社ライブラリー版は(K)(H)の2点が追加されて12点を、挙げている。

(A)小泉文夫編『わらべうたの研究』(一九六九年、同刊行会)
(B)加太こうじ柳田邦夫・吉田智恵男編『おとなの替歌百年』(一九七一年、アロー出版社)
(C)尾原昭夫編『日本のわらべうた』(一九七二年、社会思想社
(D)阪田寛夫『童謡でてこい』(一九八六年、河出書房新社
(E)小泉文夫『子どもの遊びとうた』(一九八六年、草思社
(F)岩井正浩『わらべうた――その伝承と創造』(一九八七年、音楽之友社
(G)森まゆみ『ひとり親走る』(一九九四年、講談社
(H)川崎洋『日本の遊び歌』(一九九四年、新潮社)
(I)笠木透『昨日生れたブタの子が』(一九九五年、あけび書房)
(J)高田宏『こころの詩たましいの歌』(一九九六年、徳間書店
(K)ワールドみんわツアー編集委員会編『ワールドわらいツアー』(二〇〇〇年、童心社
(L)有馬敲『替歌研究』(二〇〇〇年、KTC中央出版

 ここに挙がっている本のうち、書影を示せるものを貼って置こう(一部は文庫版)。

子どもの遊びとうた

子どもの遊びとうた

日本の遊び歌

日本の遊び歌

こころの詩 たましいの歌

こころの詩 たましいの歌

替歌研究

替歌研究

 この追加によって、これに続く部分にはかなりの書き加えがなされている。単行本16頁14行め〜17頁1行め(改行箇所「/」)、平凡社ライブラリー版16頁15行め〜17頁4行め(改行箇所「\」)、平凡社ライブラリー版で追加された部分を灰色太字にて示した。

 これらのうち、(B)と(I)と(L)が替え歌のみを集めた本だが、(B)は「おとなの」と断わりがある\よう/に、内容は春歌・猥歌*1に属するものが圧倒的に多い。また(I)はのちにもふれるが、「戦争\中の/子どものうた」という副題が示すように、戦時下の替え歌が中心で、網羅的なものではな\い。/(L)は大人のものも子どものものも網羅した本で、特に個人やグループなどが創作した替え歌まで採集しているのが特色である。他の本はすべてその一部に子どもの替え歌がとりあげら\れている。


 ところが、この次の部分で、単行本17頁2行め、平凡社ライブラリー版17頁5行め、

 ところで、本稿の新聞連載が終わった直後に、新しい文献が一つ加わった。‥‥

と、いきなり「新聞連載」の話が出て来る。「新聞連載」の詳細は「あとがき」に述べられているが、何の断りもなしに持ち出されると面喰らう。しかもこれが「一九九七年三月」刊行の雑誌に載ったものなのである。平凡社ライブラリー版ではこの「新しい文献」よりも後の「二〇〇〇年」に出たものを(K)(L)として先に示しているから、捩れてしまっている。平凡社ライブラリー版4頁に、単行本が「一九九八年七月」に刊行されたことは断ってあったから、そのままにしているのだろうとは察せられるのだけれども。(以下続稿)

*1:ルビ「わいか」。