(※ 毎度ネタばれですが、この記事では話の筋は分かりません。*1)
・映画「ナイル殺人事件」
1978年9月29日公開、日本公開昭和53年(1978)12月9日。
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・ポスター
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「オリエント急行殺人事件」は偶然乗り合わせた全く面識のない乗客たち、のように見えていたのが実は全員が、車掌も含めて犯人だった、という引っ繰り返りそうな設定になっていたのだけれども、こっちはナイル川を下るクルーズ客船の乗客の大半にお金持ちの美女リネットを殺す動機があるのだけれども、最も動機のなさそうに見える人物が犯人だった、ということで、裏返したような設定である。「オリエント急行殺人事件」に比べれば抵抗感は強くないけれども、しかし酷い話である。
首謀者は友人である被害者の財産を奪うために、婚約者を美貌の被害者に略奪されてストーカーと化した哀れで執念深いブスを演ずるのである。婚約者は被害者の夫となり、このストーカーだけでなく、その他の資産や名誉を巡るトラブルから愛する妻を献身的に守り通そうとするナイスガイを演ずるのである。被害者は就寝中に射殺されるまで、夫を完全に信じ切っていたであろう。その残酷さに気付かないという一点のみで、私は首謀者とその相棒に全く同情することが出来ない。或いは、原作では、映画でもちらちら見せていた被害者の嫌な点や、首謀者が「こいつ殺そう」と決意するに至る経緯が、もっとしっかり描かれているのであろうか。しかし、映画を見る限り、被害者が非難されても仕方がないように見える略奪婚からして仕込み(!)だった訳だから、ストーカーとなってしまった首謀者に、(かなり)ドン引きしながらも(若干)同情していた気持ちを「返せ!」と言いたくなる。
とにかく被害者の一番近くにいた人物が首謀者の手引きをしているのだから、被害者は逃れることが出来ないし、首謀者はどこまでも付いて来られる。その意味で無理な感じは弱い。それに、あのタイミングで実行しないとアリバイが成立しないのも、分かるのだけれども。
しかし、首謀者が当時は自分の婚約者だった後の被害者の夫と、被害者の屋敷へ向かうシーン(00:06:38〜00:07:18)での会話、あれは何なのだ。あんな誰も見ていないはずの場面まで演じていたのか? それとも、その後の、被害者と首謀者の婚約者が恋に落ちる(?)シーン(00:07:37〜00:07:59)の後で、被害者の気持ちを利用する恰好の計画を、思い付いたという理屈なのか?(以下続稿)
*1:オチだけ分かるということになる。――だから念のため断って置く。