瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

樋口一葉『たけくらべ』の文庫本(5)

岩波文庫31-025-1(3)
 2013年1月8日付(2)の続き。既に2013年1月7日付(1)に補って置いたように、現行の版の1つ前の版を見た。
第98刷】1927年7月10日第1刷発行・1961年9月5日第43刷改版発行・1997年11月15日第98刷発行・定価300円・115頁
 現行の版は「1999年5月17日第1刷改版発行」で数字を引き継いでいないので、この版が1年半の間にさらに増刷されたかどうかは不明。
 以下、第98刷について第1刷改版と比較しつつ述べて見よう。
 第98刷のカバー表紙にも上部に同じ鏑木清方の絵が、同じ寸法(7.5×6.8cm)で入っているが、第1刷改版が左に標題、右に明朝体太字で「樋口一葉」と配置するのに対し、第98刷は「樋口一葉にごりえたけくらべ」とする。標題の字体は若干異なり第98刷の方が若干小さい。右下に横組みで第98刷は「25-1岩波文庫」1行めがゴシック体で2行めは明朝体太字、第1刷改版は「 25-1」と配置が若干異なる。また、背景が緑がかった和紙であるのは同じだが、第1刷改版は方形や線状の金箔を散らしているが、第98刷にはそのような散らしたものはない。
 カバー背表紙は最下部が分類票貼付のため見えないが、他は一致。
 カバー裏表紙、左上のバーコード1つめと右上1行めのISBNコード、中央の壺印は一致。バーコードの2つめが第98刷「1920193003000」第1刷改版「1920193003604」、右上2行め、第98刷「C0193 \300E」第1刷改版「C0193 \360E」,
3行めは第98刷「定価(本体300円+税)」第1刷改版「定価(本体360円+税)」。
 カバー裏表紙折返しの下部に「図書」の広告で「年刊購読料800円(送料込/税込)」は同じ、異同は郵便番号が第98刷「101-02」第1刷改版「0101-8002」。
 カバー表紙折返し、右下のカバーの説明は同じ。上部に縦組みで「にごりえたけくらべ」とあって、第98刷は

結城という愛人があったが、自分に入れ揚げ/て落ちぶれた蒲団屋の源七に殺される銘酒屋/菊の井のお力のはかない生涯を描く「にごり/え」に、東京の下町を舞台に、美登利、正太郎、/信如ら思春期の少年少女の生活を描いた名篇/「たけくらべ」を併収。(解説=和田芳恵

と「にごりえ」を主としているが、第1刷改版は、少し空けて

酌婦の身を嘆きつつ日を送る菊の井のお力の/はかない生涯を描いた「にごりえ」。東京の/下町を舞台に、思春期の少年少女の姿を描く/「たけくらべ」。吉原遊郭という闇の空間とそ/の底辺に生きる人びとに目を向けた一葉の名/篇を収める。改版。(注・解説=菅 聡子)

と対等に述べている。(以下続稿)