瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(143)

 赤マントを活用した近年の創作としては、2014年1月1日付(71)に高嶋友也「頭に回るは笑い声」を挙げました。けれども、小説や漫画に登場するものについては殆ど調査を進めておりません。僅かに2013年12月21日付(61)に、中島京子『小さいおうち』を挙げた程度です。
 他に、体験者の書いた小説として、小沢信男「わたしの赤マント」と、中島京子の母・中島公子「坂と赤マント」について詳しく検討しましたが、これらは(全く記憶を誤りなく再現しようとしているのかどうか疑問はありますが、一応)事実を再現しようとしたものとして扱いました。
 この話の流布、ということでは新しいものも押さえて置く必要があるのですが、若者のノリ(?)には歳のせいで追い付かないのです。それからやはり、私は原型はどうだったのか突き止めたいので、最近発生した、意図的なヴァリエーションにはあまり惹かれないのです。

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・ストロベリーソングオーケストラ『血の濫觴

血の濫觴

血の濫觴

血の濫觴

血の濫觴

 見世物パンク一座「ストロベリーソングオーケストラ」座長宮悪戦車(1974.3.7生)のブログ「座長・宮悪戦車の犯罪記録」には、2009年11月17日「狂れた埋葬虫、電波、赤マント」を筆頭に、しばしば赤マントに言及しています。リンクを貼った記事では、都市伝説について論じて後に、

そんな都市伝説の中に、昭和初期より語り出された『赤マント』という怪人がいる。赤マントは、俗世間一般でいう処の人拐いで、赤いマントに身を包み、少女を誘拐しては残虐に殺してしまう、そりゃもう身の毛もよだつ怪人である。
僕は、昔から『誘拐』という文字自体にゾクッとする恐怖感を持っていて、赤マントにはいたく興味を抱いていた。突然の少女の失踪、目撃者によると、電柱に隠れていた赤マントが、少女を誘拐!明くる日、墓場で全裸の凌辱された少女の死骸が発見される。で、‥‥

と「赤マント」を説明し、さらに、

都市伝説である赤マントに殺されたであろう少女。だがしかし、赤マントという存在は、おそらく当時の大人達が、夜遊びする女の子は赤マントに殺されるぞ!というハッタリであって、赤マントという犯人は存在しないのであって、本質の犯人は只の変質者であり、赤マントなんて身に纏って無いのであり、あらん罪を毎回毎回死体があがる度にきせられる、言わば赤マントという存在自体も犯人扱いされた被害者なのである。都市伝説の中の都市伝説によると、怪人赤マントのモチーフは、乱歩の怪人二十面相である、という記述もある事から、‥‥*1

と論じます。この、夜遊びを戒めるために大人(教師)が広めたのだとする説明は、2013年11月18日付(28)2013年11月21日付(31)でも指摘したように、この噂が爆発的に流行していた当時から行われていたものでした。怪人二十面相については私は2013年12月17日付(57)くらいしか見付けておりません。しかしながら、流行当初は佝僂男とする説が有力だったので、そんな颯爽としたものではなかったらしいのです。

 同じチャンネルに宮悪氏のメッセージも上がっており無許可ではないらしいので、どのようなパフォーマンスなのか参考までに貼って置きます。(以下続稿)

*1:「あらん」では推量の助動詞「む(ん)」になってしまう(例えば「あらん限りの力を」の如く)ので、打消の助動詞にて「あらぬ」とすべきであろう。