瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

有島武郎『小さき者へ・生れ出づる悩み』(3)

新潮文庫746(3)
 2月18日付(1)に、カバー表紙・表紙折返しについて述べたが、カバー背表紙・裏表紙・裏表紙折返しはまだ取り上げていなかった。
 カバー背表紙は、明朝体で上部に標題、中央に著者名があるのは共通。標題は横長で、三宅氏のカバーは小さく、吉村氏及び酒井氏のカバーは一回り大きくなり、著者名まで三宅氏のカバーではかなり余裕があったのが、吉村氏及び酒井氏のカバーは「る悩み」の3字分がこの余裕に入り込み、著者名との間の余裕は1字分しかない。著者名は吉村氏及び酒井氏のカバーは若干大きくなっているが位置や字配りなどに代わりはない。
 下部、五十八刷は「新潮文庫〔草〕四二=4= 160」とあって〔草〕と=4=は横並び*1。六十三刷以降が角切長方形(2.0×0.5cm)に白く抜いて[あ 2 4]その下に「新潮文庫」最下部に定価で六十三刷は「200」、七十三刷「280」に太い下線、七十六刷は「320」に太い下線、定価286円の酒井氏のカバーは「\286*2、定価340円の酒井氏のカバーは「340」。定価340円のものは[あ 2 4]と白く抜いた角切長方形(1.7×0.5cm)が狭くなり、しかし位置は同じ高さでその分「新潮文庫」の上下に若干の余裕を作っている。
 カバー裏表紙の右上の紹介文は、三宅氏と吉村氏のカバーは同版に見え、酒井氏のカバーは組み直しているが同文である。三宅氏のカバーにはバーコードがなく、五十八刷は紹介文の上下に横線なく、地色はカバー表紙と同じ色で、左下に表紙と同じ白い幹の木が2本描かれている。紹介文の他には下部に「ISBN4-10-104204-7 C0193 \160E 定価160円」とあるのみ、葡萄マークもない*3。六十三刷は白地で以下の諸刷も同じ、紹介文の上下に横線があって、中央の横線の下に「ISBN4-10-104204-7 C0193 \200E 定価200円」とあって、その下、中央に葡萄マーク。
 吉村氏のカバーでは紹介文の上の横線がなくなって、左上にバーコードが2つ入る。うち1つめは九十二刷まで同じ。2つめは吉村氏のカバーでは七十三刷「1910193002806」七十六刷「1910193003209」、ちなみに酒井氏のカバーの定価286円は「1920193002867」*4、定価340円は「1920193003406」。バーコードの下に少し余白があって中央の横線の上に定価が入る。七十三刷「定価286円(本体272円)」七十六刷「定価320円(本体311円)」、ちなみに酒井氏のカバーの定価286円は「定価本体286円(税別)*5、定価340円は「定価本体340円(税別)」となっている。横線のすぐ下に、右に葡萄マーク、左に2行、1行めのISBNコードは三宅氏以来の10桁が酒井氏の定価286円のカバーまで入っていたが、定価340円のカバーから13桁「ISBN978-4-10-104204-6」になって文字も一回り小さくなった。2行めは七十三刷「C0193 P280E」、七十六刷は図書館バーコード貼付のためCコードしか見えない。Cコードが全て同じでその右が定価286円のカバーは「 \286E」、定価340円のカバーは「 \340E」。
 カバー裏表紙折返しは横組みで、②五十八刷は上部にゴシック体で「〜〜〜新潮文庫〜〜〜/有島武郎の作品/或  る  女(上)/   〃   (下)/惜しみなく愛は奪う/小さき者へ・/  生れ出づる悩み」とあって、最下部左に明朝体で小さく「カバー印刷 錦明印刷」とある。私の見た②六十三刷は切除されていて不明*6
 吉村氏及び酒井氏のカバーは最下部に明朝体で小さく「カバー印刷 錦明印刷  デザイン 新潮社装幀室」とある。上部「―――新潮文庫―――/有島武郎の本|」とあって2行めは明朝体太字、その下に明朝体で書目が並ぶ*7
 ②七十三刷は「或  る  女(上・下)/惜みなく愛は奪う/小さき者へ・/   生れ出づる悩み」とあって、最後の「み」の右下に小さく「*」があり、その下にゴシック体で小さく右寄せで「*の巻には、『新潮カセットブック』/収録の作品が入っています。」とある。②七十六刷は「惜みなく愛は奪う/小さき者へ・/   生れ出づる悩み/或    る    女」の順で「*」と注記は同じ*8
 酒井氏のカバーの③八十四刷改版になると「*」の注記はなくなり「小さき者へ・/   生れ出づる悩み/或    る    女/惜みなく愛は奪う/  有島武郎評論集―  」となり③八十五刷も同じ。③八十六刷は「小さき者へ・/   生れ出づる悩み/或    る    女」だけになっており以下同じ。ここで注意すべきは私の見た②七十七刷もやはり「小さき者へ・/   生れ出づる悩み/或    る    女」となっていることで、私の見た②七十七刷のカバーは③八十六刷のカバーと一致するので、実は③八十五刷よりも新しい時期のカバーに掛け替えられたものではないか、という疑いを持っている*9。(以下続稿)

*1:2017年5月12日追記】③五十刷は「新潮文庫〔草〕四二D 140」となっている。

*2:8月2日追記】定価286円の吉村氏のカバー(八十一刷)も同じ。

*3:2017年5月12日追記】③五十刷の下部には、左下に小さく「0193-104204-3162」、右下隅に小さく「¥ 140」とある。

*4:8月2日追記】定価286円の吉村氏のカバー(八十一刷)も同じ。

*5:8月2日追記】定価286円の吉村氏のカバー(八十一刷)も同じ。

*6:2016年7月10日追記】六十四刷は五十八刷に同じ。六十四刷のカバーの他の箇所は六十三刷に一致。【2017年5月12日追記】③五十刷も五十八刷に同じ。

*7:8月2日追記】以下「惜しみなく愛は奪う」と誤っていたのを訂正した。

*8:8月2日追記】定価286円の吉村氏のカバー(八十一刷)は「*」の注記がなくなっている。

*9:7月5日追記】吉村氏のカバーの②八十一刷を見た。