瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山岸凉子『妖精王』(4)

 高校の図書館に評論社文庫版『指輪物語』全6巻が揃っていたが他のことに忙しかったので読まないままになり、そのまま映画『The Lord of the Rings』も見ていない。『ニーベルンゲンの歌』や『ベーオウルフ』、グリム『ドイツ伝説集』は大学生になってから読んだ。

ニーベルンゲンの歌〈前編〉 (岩波文庫)

ニーベルンゲンの歌〈前編〉 (岩波文庫)

ニーベルンゲンの歌〈後編〉 (岩波文庫)

ニーベルンゲンの歌〈後編〉 (岩波文庫)

ベーオウルフ―中世イギリス英雄叙事詩 (岩波文庫)

ベーオウルフ―中世イギリス英雄叙事詩 (岩波文庫)

グリムドイツ伝説集 (上)

グリムドイツ伝説集 (上)

グリムドイツ伝説集〈下〉

グリムドイツ伝説集〈下〉

 けれども、このような世界を扱った作品の系譜中、『妖精王』がどのように位置付けられるのか、判断出来る程の知識はない。ちなみに『Harry Potter』も見ていない。ディズニー映画もジブリ映画も殆ど見ていない。けれどもゲームブックだと思えば別に入り込めない世界ではなかったのである。
 『妖精王』は図書館では『アラベスク』や『日出処の天子』ほど見かけないので、花とゆめCOMICSを某区立図書館で見かけて、それで別の図書館で文庫版の揃いを書庫から出してもらって読もうという気になったのだけれども、なかなか読み進められなかった。しかし、途中から入り込めるようになり、そしてゲームブックを思い出したのである。
花とゆめCOMICS『妖精王』第2巻(3)
 昨日の続き。
・5頁(頁付なし)中扉は主人公の全身像で背景は朧夜の満月と葡萄の枝。
・6〜84頁=文庫版第1巻190〜268頁 
・85〜173頁=文庫版第2巻5〜93頁
・左頁の左側の余白下部にある捨てカットは単行本(7・15・35・39・47・51・75・79・87・97・111・125・139・161頁)と文庫版(第1巻191・199・219・223・231・235・259・263頁、第2巻7・17・31・45・59・81頁)とで異なっており、一致するのは文庫版第1巻263頁の腕組みをするプックで単行本79頁と同じカットであるが、単行本では4〜5コマめ左側にあったのが5コマめの左側に収まっており、判型の違い以上に縮小されている。なお、単行本7・35・47・75・87・111・139頁は角笛を吹く爵のカットで同じ、15・39・51・79・97・125・161頁は前記腕組みをするプックのカットで同じ。すなわち単行本は2種を交互に使い回している。文庫版は全て違うカットである。
 その他、気付いたところ若干を挙げて置く。
・85頁2コマめ、プックがルシフェを評して呟く台詞「こいつ 気チガーイ*1」が、文庫版第2巻5頁2コマめでは「こいつ 変なヤツ*2」に改められている。
・140頁7コマめから142頁2コマめまで、140頁7コマめと142頁1コマめのクーフーリンの台詞と141頁2コマめの井冰鹿の台詞も含めて主人公忍海爵の心内語がゴシック体で示されているが、文庫版第2巻では、このうち60頁7コマめと62頁1コマめのクーフーリンの台詞と61頁2コマめの井冰鹿の台詞が、方宋体になっている。
 細かく比較した訳ではないので、他にも同様の例を見落としているかも知れない。(以下続稿)

*1:ルビ「き」。

*2:ルビ「へん」。