瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

楳図かずお『ミイラ先生』(1)

・SUNDAY COMICS『ミイラ先生』

ミイラ先生 (サンデーコミックス)

ミイラ先生 (サンデーコミックス)

・昭和43年10月5日初版発行・平成3年6月30日59版発行・定価379円・秋田書店・231頁
・完全復刻版『ミイラ先生』
ミイラ先生

ミイラ先生

・2007年10月1日初版第1刷発行・定価2,200円・小学館クリエイティブ・116頁・A5判並製本
・完全復刻版『続ミイラ先生』
ミイラ先生 続

ミイラ先生 続

・2007年10月1日初版第1刷発行・定価2,300円・小学館クリエイティブ・124頁・A5判並製本
 私は完全復刻版(小学館クリエイティブ)2冊本で読みました。先日、1冊本のSUNDAY COMICS版(秋田書店)を見て、比べてみたくなったのです。楳図かずお(1936.9.3生)の研究というと、金沢美術工芸大学教授の高橋明彦(1964.2.20生)のHP「半魚文庫」の「楳図かずお - 文献と批評.」が思い浮かぶのですが、その「楳図かずお作品目録」に『ミイラ先生』の諸本の関係について簡単に纏めてあります。しかし、詳細に見たものはネット上にはないらしいので、個人的な手控えのつもりもあってやって見ようと思ったのです。また息切れする可能性も大ですが。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 ところで、小学館クリエイティブ版の『続ミイラ先生』に対しては、Amazon詳細ページに批判のレビューが附されています。ちなみに標題は、カバー背表紙と124頁奥付は「続ミイラ先生」、123頁の目録には「続 ミイラ先生」、復刻版奥付には「続・ミイラ先生」とあるのですが、Amazon詳細ページでは何故か「ミイラ先生 続」となっています。
 その、怒りのレビューですが、内容はここには引きません。これについて版元を弁護するなら『続ミイラ先生』はこの復刻版の元版「花文庫」NO15(佐藤プロダクション)の標題をそのまま引き継いだだけであって、紛らわしい標題を新たに附して読者を騙して買わせようとしたのではありません。1冊にまとめていない理由も、本体にはその最後に復刻版奥付の1枚を追加しただけで頁付も元版そのままにしている忠実な復刻ぶりが物語っています。解説は「続ミイラ先生読本」というのを、本体とは別にして挟んでいるのです。
 カバーも同様で、表側に復刻版としてのカバー、そして裏側が元版カバーになっています。こうすればバーコードや復刻版の定価を追加せずに元版カバーを完全に再現出来ます。或いは、元版カバーの側を表にして元版を装って古本屋に持ち込む輩が出るかも知れませんが……しかしそれ相応の経年劣化を装わせてまでそんなことをする輩がいるかどうか。とにかく、復刻版を示す部分を巧妙に切除して元版を装って古本屋に持ち込めば、万に一つは上手く行ってしまいそう(?)なくらい、忠実に復刻してあるのです。
 とにかく、元版の通り2分冊にしないといけない理由は十分にあるのです。
 もちろん、Amazon詳細ページには「商品の説明」が出来るのだから、版元はそこを活用して内容についてしっかり説明するべきでした。「★★★★この売り方を作者はご存知ですか?」という、作者にも矛先を向けた(文章の中で「勿論 作者の方に罪はなく、こんな表記をする出版担当者側の問題でしょうが。」と矛先を変えていますが)怒りのレビューが「22 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。」とまで支持されているのは、『続ミイラ先生』が単行本『ミイラ先生』の後半であることを、Amazon詳細ページに版元が示していないからなのです。今からでも遅くないから……いえ、遅きに失した感は否めませんが、どうか書き足して下さい*1

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 当ブログの「改版」で取り上げているのも、同じように見えて実は違っている版があるのを、或いは改版と断っていても具体的にどこを改めたのだか、本当は版元が説明すべきなのだけれども説明しないので、個人的にメモしているのです。しかし個人の見得る範囲は限られています。版元は改版時にそれまでの読者からの指摘等を反映させたり、文字を大きくしたり「解説」を差し替えたり、といった修訂を行ったことを把握しているはずです。そういったことを、版元が改版刊行時に(本体にそのような情報は不要だと思う読者もいるだろうから)不特定多数が容易に見得る版元HP或いはAmazon詳細ページにでも、本体とは別に(怒りのコメントを寄せている人のように、事前に知りたいのだから*2)示して置くべきではないでしょうか。(以下続稿)

*1:しかしそうしてしまうとレビューの怒りの理由が分からなくなってしまいます。良く読めば大方の事情は察することはできましょうが。【12月18日追記】今日見たところ「25 人中、24人の方が、‥‥」となっていました。相変わらず版元による「商品の説明」はありません。

*2:漫画のように本屋では中を見せてもらえないものもあり、もちろん通販なら尚のこと。