瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

楳図かずお『ミイラ先生』(2)

 比較するに当たって、前回言及した高橋明彦のHP「半魚文庫」の「楳図かずお作品目録」に載る、次の文庫本も参照することにしました。
講談社漫画文庫『悪夢(楳図かずお画業55th記念 少女フレンド少年マガジン オリジナル版作品集52011年1月12日第1刷発行・定価830円・349頁

 「ミイラ先生」は83〜267頁に収録されています。
 このシリーズがどういうものであるかは、3頁(頁付なし)「Contents」の下部にゴシック体横組みで小さく、

おことわり|
この文庫は、「少女フレンド」「少年マガジン」掲載の作品を当時のオリジナル/誌面に近づけるべく再現したものです。一部、原本より複写を行なっており、/画面の荒れている箇所がございますが、企画の意図をお汲みいただき、ご了/承願えれば幸いです。また、台詞等一部を適宜改めさせていただきました。

とあります。単行本では省略される連載各回の扉絵は複写で収録していて、アオリの文字もそのままです。単行本収録に際して改稿された頁も初出誌の複写です。連載各回の最後の頁も複写で、この頁には扉絵と同じく欄外に文字(ヒキ等)がそのまま入っています。それ以外の頁は原稿から製版しているようです。
 「台詞等一部を適宜改め」たというのは、問題になるかも知れない言葉を差し替えたのでしょう。ここまで再現して置いて、そこを改めてしまったのは、少し勿体ない気がします。そのような表現が許容されてしまった*1時代だったことを含んでおれば良いのですから。

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 しかし、規制は映画DVDのTV吹替音声の一部をカットしてしまう、というところまで至っているようです。やはり難しいのでしょうか。しかし実際にあったものをなかったかのようにしてしまうのは、一種の捏造にならないでしょうか。(以下続稿)

*1:「無頓着」或いは「無神経だった」というべきでしょうか。