瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

正岡容『艶色落語講談鑑賞』(1)

・『艶色落語講談鑑賞』昭和二十七年十二月二十日印刷・昭和二十七年十二月二十五日發行・定價450円・地方價460円・あまとりあ社・364頁・B6判上製本
 まるまる復刻した本は存在しないようである*1Kindle版「艶色落語講談鑑賞」は『艶色落語講談鑑賞』からの抄録で、私はKindle版の読める環境にない(読めるのかも知れないが読まないことにしている)ので確認した訳ではないが、どうやら河出文庫版『寄席囃子 正岡容寄席随筆集』に拠る青空文庫「艶色落語講談鑑賞」の流用であるらしく、後述するように元来「艶色落語講談鑑賞」と題すべき内容ではない。青空文庫は今からでも後人を惑わすことなきよう改題するべきだし、そもそもは河出文庫版の少々無神経な編集に起因するところなので、その大元から訂正する必要があると思っている。
河出文庫『寄席囃子 正岡容寄席随筆集二〇〇七年九月一〇日印刷・二〇〇七年九月二〇日発行・定価780円・266頁

寄席囃子―正岡容寄席随筆集 (河出文庫)

寄席囃子―正岡容寄席随筆集 (河出文庫)

 『艶色落語講談鑑賞』のむしろ本編と呼ぶべき部分は、次の本に完全収録されている。
桂米朝小沢昭一大西信行永井啓夫『完本 正岡容寄席随筆』2006年11月17日第1刷発行・岩波書店・468頁・菊判上製本
完本 正岡容寄席随筆

完本 正岡容寄席随筆

 書影に示したのは函で、図書館蔵書を見ている私は未見。
 河出文庫版の「艶色落語講談鑑賞」は、岩波書店版の「第四章 艶色落語講談鑑賞(抄)」から漏れた、つまり「艶色落語講談鑑賞」そのものではない『艶色落語講談鑑賞』収録の艶色随筆に、書名「艶色落語講談鑑賞」を冠してまとめたものなのである。なお詳細は後述する。(以下続稿)

*1:6月24日追記NDL-OPACをちらと覗いてその「内容細目」に挙がっていなかったために落としていたが、「研究余録 〜全集目次総覧〜」を見るに『正岡容集覧』に、全てではないが主要部分は収録されていた。追って詳細を記す。