瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

山岸凉子『アラベスク』(22)

・バレエ名作ダイジェスト(1)
 『完全版Ⅲ』6〜7頁、まず6頁から見て置こう。枠内の右上「――1――白鳥の湖*1」とあって、下に男女のイラスト、その右、飾りの切れ目に縦組みで小さく「オデット姫と王子の/   「アダージォ」」とある。続く文章はモダンゴシック体に明朝体でルビ、藻を連ねたような飾りの線によって上下に分けられている。

バレエといえば「白鳥/の湖」といわれるほど/に有名なこの作品は、/みなさんも一どは耳に/しているでしょう。*2
 悪まに、白鳥のすが/たにかえられたオデッ/ト姫が、王子ジークフ*3【上】リートの愛の力で人間のすが/たにもどり、悪まをほろぼす/という、たいへんげんそう的/で美しいバレエなのです。*4
 あの有名な“4羽の白鳥”/のおどりをはじめ、第2幕の/オデット姫と王子の“アダー/ジォ"“オデット姫のソロ” *5【下】


 左側に女性1人のイラスト、左側下詰めに縦組みで「「黒鳥のオディール」*6」とある。7頁は上段中央やや右に女性1人のイラストがあって、右側上詰めに縦組みで「「スペインの踊り」*7」とあって、このイラストの右側は6頁と同じ仕切りで上下2段に分けてある。

そして、第3幕では“黒鳥オ/ディールのおどり”や世界の/民族ぶよう“スペインのおど/り”など、たくさんのみせ場/があります。*8
 音楽は、もちろんチャイコ*9【上】フスキーの作曲で、日本でも/かず多く上演されたクラシッ/クバレエの最高傑作の一つで/す。*10


 続いてゴシック体の見出しがあってその次の行からは明朝体で、

〔バレエ用語のミニ百科〕*11
アダージォ=男の人に支えら/れた女性が、ゆるや/かな美しいフォーム/をみせるおどりです。/主役のみせ場の大切/な一つです。*12

とあって、字数が少ない行は上部に「スペインの踊り」が食い込んでいて、もちろん仕切りの線は途切れている。この左に女性4人のイラストがあってその右側下詰めに縦組みで「「4羽の白鳥」*13」とある。このイラストの上、「スペインの踊り」の左に明朝体縦組みで、

白鳥の湖」については、/このまんが(アラベスク)/の中で、歴史の紹介や、み/せ場のもっとくわしいせつ*14/めいをしていきたいと、/かんがえています。/どうぞ、おたのしみ/に、おまちください。
    (山岸凉子)*15

とある。左上の飾り枠のために5行めから字数が少なくなっている。
 単行本(HC版第II部第1巻)12〜13頁は明朝体太字で大きく「白鳥の湖」とあって、以下の文章は明朝体縦組み。

バレエといえば「白鳥の湖」といわれるほど/に有名なこの作品は、みなさんも一度は耳/にしているでしょう。悪魔によって白鳥の/すがたにかえられたオデットが、王子ジー/クフリートの愛の力で、ふたたび人間のす/がたにもどり、悪魔をほろぼすという、大/変に幻想的な美しいバレエです。*16
第2幕の"湖畔"の場で踊られる、あの有名/な“4/羽の白/鳥”オ/デットと王/子の“アダ/ージオ”を*17【12頁】はじめ、第2/幕の“黒鳥オ/ディールの踊り"や"スペインの踊り""ハン/ガリーの踊り”等の民族舞踊など、たくさ/んのみせ場があります。*18
音楽は、チャイコ/フスキの作曲で、/上演回数が世界中/で最も多い、クラ/シックバレエの最/高傑作の一つです。*19


 12頁左下にアダージオのイラスト、13頁右にオディールのイラスト、左下に4羽の白鳥のイラストがあって、キャプションはない。なお、1つだけ省略されてしまったスペインの踊りのイラストは、9月3日付(16)にも注意したように17頁に捨てカットとして掲載されている。但しキャプション等はないので名作バレエダイジェスト「白鳥の湖」用に描かれたものだということは、単行本を見る限りでは分からない。いや、知識がなければそもそもスペインの踊りということも分かろうはずがないのだけれども。
 完全版がどこまで忠実に初出誌を再現しているのかは未確認だが、単行本にまとめるに際し、〔バレエ用語のミニ百科〕以下を省略し、ダイジェストの方も書き直していることが分かる。
 『文庫版Ⅲ』10〜11頁、10頁右端に女性1人のイラストがあってその左側下寄せ縦組み「「黒鳥オデール」」、このキャプションの左に「《白鳥の湖 》」とある。11頁左端に男女のイラストがあってその右側下寄せ縦組み「アダージョ」。(以下続稿)

*1:ルビ「めいさく・はくちょう・みずうみ」。

*2:ルビ「はくちょう/みずうみ/ゆうめい・さくひん/みみ/」。

*3:ルビ「あく・はくちょう//ひめ・おうじ」。

*4:ルビ「あい・ちから・にんげん/あく/てき/うつく」。また、2箇所の「悪ま」の「ま」に傍点「・」が打ってある。

*5:ルビ「ゆうめい・わ・はくちょう/だい・まく/ひめ・おうじ/ひめ」。

*6:ルビ「こくちょう」。

*7:ルビ「おど」。

*8:ルビ「だい・まく・こくちょう/せかい/みんぞく/ば/」。

*9:ルビ「おんがく」。

*10:ルビ「さっきょく・にっぽん/おお・じょうえん/さいこうけっさく・ひと」。

*11:ルビ「ようご・ひゃっか」。

*12:ルビ「おとこ・ひと・ささ/じょせい/うつく//しゅやく・ば・たいせつ/ひと」。

*13:ルビ「わ・はくちょう」。

*14:ルビ「はくちょう・みずうみ//なか・れきし・しょうかい/ば」。

*15:ルビ「やまぎしりょうこ」。

*16:ルビ「はくちよう・みずうみ/ゆうめい・さくひん・ど・みみ/あくま・はくちよう/おうじ/あい・ちから・にんげん/あくま・たい/へん・げんそうてき・うつく」。

*17:ルビ「だい・まく・こはん・ば・おど・ゆうめい//わ・はく/ちよう/おう/じ/」。

*18:ルビ「だい/まく・こくちよう/おど・おど/おど・とう・みんぞくぶよう/ば」。

*19:ルビ「おんがく・さつきよく/じようえんかいすう・せかいじゆう/もつと・おお/さい/こうけつさく」。