・「週刊朝日」の「新大衆文藝『事實小説』募集」(2)
昨日の続き。
しかしながら、昭和八年一月の「週刊朝日」新年特別號の「當選發表」を見ても「東太郎日記」らしき作品は見当たらないのです。誌上に掲載された当選作を見てもやはり浪曲界の内幕物ではありません。
そこで再び『戦前期『週刊朝日』総目次』に戻って、昭和8年(1933)条を眺めて見ました。すると169頁下段21行め〜170頁下段14行め「『週刊朝日』一九三三(昭和八)年七月二日/(第二十四巻一号)目次」条に、170頁上段12行め「大衆文藝「事実小説」募集 12」とあることに気付きました。第二回があったのです。第一回と同じ段取りでやっていたと仮定すれば、その発表は同じ時期になりましょう。すなわち、203頁上段4行め〜204頁上段4行め「『週刊朝日』一九三四(昭和九)年一月一日/新年特別号(第二十五巻一号)目次」条を見るに、上段14〜17行めに、
懸賞当選事実小説
東太郎の日記 米島 清 12
移民地の或女 小山 甲三 38
丸ビルの女達 加東 まさ子 56
とありました。204頁上段4行めには「第二回懸賞「事実小説」当選発表 36」とあります。
早速閲覧したいところでしたが、疾うに書庫出納の時間は過ぎていましたから仕方がありません。近く出直すことにして帰宅し、判明した正確な題と、筆名でネット検索して見ました。
すると、カトウジンのHP「moonymoonman」の「雑誌目次メモ」に、「『週刊朝日』目次抄」があって、第一回『事実小説』募集関連の号や第二回の募集記事の出た号は採られていないのですが、昭和9年の新年特別号だけ、
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25巻1号(1934.1.1) (通巻671号) 新年特別号
# 懸賞当選事実小説
「東太郎の日記」 米島清
「移民地の或女」 小山甲三
「丸ビルの女達」 加東まさ子
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「利根へ堕ちる星」 村松梢風
「恋愛実験室」(ユーモア小説) 中野実
「高原の分教場」(小説) 浜本浩
「夢の姉」(小説) 川端康成
「アマニイ姫の冒険」 伊体次五郎*1
「私の意見」 林芙美子
「僕の意見」 サトウハチロー
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「海の髑髏旗」(大衆小説) 小島政二郎
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※他記事省略
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と紹介されていることに気付きました。しかしながらこれが山本禾太郎の小説だとは、そのつもりで見ないことには分からないので、私が発見(?)したことにして宜しいでしょう。尤も、論創ミステリ叢書『山本禾太郎探偵小説傑作選』刊行からもう9年経ちます。「東太郎(日記) 週刊朝日」で検索すればカトウ氏の「『週刊朝日』目次抄」はヒットするのです。誰か見付けているでしょうか
米島清で検索しても、やはりそれらしき情報は得られませんでした。――以下、まだ誰も見付けていないという前提で続けます?*2。(以下続稿)
*1:正しくは「伊禮 次五郎」新字にすると「伊礼次五郎」。「東京朝日新聞」記者渡辺紳一郎(1900.3.16〜1978.12.22)の筆名。
*2:【10月16日追記】残念ながら(?)既に発見されていました。10月17日付(10)に事情を説明します。しかしながら私ほど詳細に紹介していませんので、この記事は継続させます。