瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

松本清張『点と線』(5)

・光文社創業60周年記念出版【ミステリーの原点 名著初版完全復刻】(1)

点と線

点と線

・2005年12月10日初版第1刷発行・定価1800円・光文社・234頁・B6判上製本
 初版は見たことがないが「初版完全復刻」を謳っているところからして、5月7日付「楳図かずお『ミイラ先生』(1)」で見た小学館クリエイティブ版『ミイラ先生』『続ミイラ先生』のように、初版の再現を目指したものとして扱うことにする。
 カバーは2種類用意されたようだ。私の見た2冊は掛かっているカバーが異なる。1冊は初版のカバーを再現したものが掛かっている。もう1冊は同じ装画だが、下部(5.5cm)を帯状に赤くして復刻に際しての宣伝文句が入れており、裏表紙の上部にはバーコードやISBNコード等が入っている。前者にはこの復刻版のカバーは保存されていないが、後者には見返しに初版のカバーを再現したものが、淡い灰色の帯が掛かった状態で折込まれている(折返しや天地が裁断されているため帯の正確な寸法は計測不能)。すなわち復刻版には当初、初版のカバーと帯、復刻版のカバーが附属していたらしいのだが、図書館の書棚に並べるに際し取り除かれてしまったのであろう。しかしその処理がこの2冊で異なっていたことで、このように察しを付けることが出来たのである。
 初版のカバーの折返しは白だが、復刻版の折返しは青で(下部は帯状の赤)、文字は横組みでそれぞれ上部に濃い橙色で「光 文 社 創 業 60 周 年 記 念 出 版」とあって、表紙折返しには以下のようにある。黒で示した文字は白抜きだがそのまま再現出来ないので仮に黒にした。また作者(団体)名は「作(監修)…」よりも一回り大きく、1行めの濃い橙色のゴシック体と同じ大きさだが、区別しなかった。

【既刊】
きけ わだつみのこえ(昭和34年刊)
監修…日本戦没学生記念会
 
2005年12月同時発売 ミステリーの原点 名著初版完全復刻】
『黒い画集(全三集)(昭和3435年刊)
作…松本清張
 
長編推理小説 成吉思汗*1の秘密』(昭和33年刊)
作…高木彬光


 全て未見だが、書影を示して置く。

きけわだつみのこえ―日本戦没学生の手記

きけわだつみのこえ―日本戦没学生の手記

黒い画集 全三集

黒い画集 全三集

成吉思汗の秘密

成吉思汗の秘密

 『黒い画集』は3冊セットで『2』と『3』の書影はAmazon詳細ページにて閲覧出来る。
 裏表紙折返しには以下のようにある。要領は表紙折返しに同じ。

2005年12月同時発売 光文社の創作童話 名作完全復刻】
『ノンちゃん雲に乗る』(昭和26年刊)
作…石井桃子
 
二十四の瞳(昭和27年刊)
作…壺井 栄
 
『善太三平物語』(昭和29年刊)
作…坪田譲治
 
『小説 三太物語』(昭和26年刊)
作…青木 茂
 
『五十一番めのザボン(昭和26年刊)
作…與田準一
 
『母のない子と子のない母と。』(昭和26年刊)
作…壺井 栄


 これも全て未見だが、書影を示して置く。

ノンちゃん雲に乗る

ノンちゃん雲に乗る

二十四の瞳

二十四の瞳

善太三平物語

善太三平物語

小説 三太物語

小説 三太物語

五十一番めのザボン

五十一番めのザボン

母のない子と子のない母と。

母のない子と子のない母と。

 最後の1冊は、その後の刊本では標題が『母のない子と子のない母と』となっている(書影が表示されるもののみ上げた)。
母のない子と子のない母と (偕成社文庫 3023)

母のない子と子のない母と (偕成社文庫 3023)

 しかしながら、初刊本は「モーニング娘。」や「藤岡弘、」のように『母のない子と子のない母と。』と、句点が打ってあった*2。標題に句読点を使用するのは異例で、釋迢空の短歌のように意図があってしたのか、他に類例があるのかどうか、調べていないけれども気になるので注意して置く。(以下続稿)

*1:ルビ「ジン ギ ス カン」。

*2:2016年1月8日追記】「藤岡弘、」は読点だから「ゲスの極み乙女。」を挙げるベキだったが、知らなかった。