瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

Géza von Bolváry “Abschiedswalzer”(1)

ゲツァ・フォン・ボルヴァリー監督『別れの曲』
 昭和10年(1935)に日本で公開されて大ヒットしたのはフランス語版だけれども、現在はドイツ語版が発売されている。ちなみにショパン生誕200年記念の全世界初DVD化である。

別れの曲 [DVD]

別れの曲 [DVD]

別れの曲 [DVD]

別れの曲 [DVD]


 僅か5年後にポーランドに侵攻するドイツで、こんなポーランドに同情的な映画が撮られていたことにまず歴史の皮肉を感ぜざるを得なかった。
 そこで思い出すのは、誘われて岩波ホールで観た、アンジェイ・ワイダ監督『カティンの森』だ*1
カティンの森 [DVD]

カティンの森 [DVD]

 戦中、カティンの森事件ナチスにより暴かれたソ連軍は、戦勝後、ポーランド各地の町の広場で、カティンの森事件ナチスの仕業だとするニュース映画を上映して回るのであるが、人寄せに勇ましい吹奏楽に編曲した革命のエチュード(!)を流すのである。――何という悪い冗談であろう。
 特典の「大林宣彦監督「別れの曲」に寄せる言葉」には、発売元から発売前にDVDを送られて視聴した大林氏の、2010年1月9日付の手紙が紹介されている。大林氏は「中学生の時の尾道」での「戦後の再上映」に「一週間の上映中、毎日、朝から晩まで映画館にいた」ほど入れ込み、「独学で“別れの曲”を練習し」たというのだから尋常ではない。まさに熱狂的である*2。内容は連続テレビ小説どころでなくショパンの伝記を知るにはあまり参考にならぬ代物なのだが、人を夢中にさせる作りにはなっている。
 戦後の再上映時の、映画パンフレットを挙げて置こう。 大林氏が観たのよりは何年か前のものである。(以下続稿)

*1:上映期間は平成21年(2009)12月5日から平成22年(2010)2月19日まで。

*2:2016年9月21日追記】大林氏の映画「さびしんぼう」DVDの特典「大林宣彦監督が語る「さびしんぼう」(2001年4月19日/大林監督 自宅にて)」(23:08)で、この映画について語っている(00:53〜03:20)が、その粗筋は相当大きく食い違っている。――記憶と云うものは“改編”されてしまうのだ。