瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

筒井康隆『時をかける少女』(6)

・角川文庫3637(2)
 それでは角川文庫3637(六十二版)と角川文庫14269(改版初版)の本体を比較して見る。
 ここで注意して置きたいのは、番号が異なっているのに後者が「改版初版」となっていることである。番号を打ち直すのであれば、ただの「初版」で良いし、「改版初版」ならば番号をそのまま引き継げば良いのではないか。
 1頁(頁付なし)扉は組み直されているが、番号以外はほぼ同じ。
 3頁「目 次」に3作品が並ぶのは同じ、下部の半角漢数字の頁数は当然違う。改版初版には5行めに一回り小さく、

 「時をかける少女」の文彩        江 藤 茂 博 二三一*1

とあるが、六十二版には解説類は収録されていない。
 4頁(頁付なし)六十二版には下部中央に縦組みでごく小さく「さし絵 谷  俊 彦」とある。改版初版は白紙である。六十二版には谷俊彦(1921.11.23〜2011.10.7)による挿画があって、50年前のちょうど今頃連載中であったこの作品に流れる昭和の雰囲気をうまく表現している。改版初版には挿絵がない。
 5頁(頁付なし)は「時をかける少女」の扉で、上部中央に明朝体縦組みで題。改版初版は一回り大きくなっている。
 本文は六十二版は1頁17行、1行43字。改版初版は1頁16行、1行40字。章見出しは、六十二版は本文より一回り大きい活字で3行取り3字下げ。改版初版は本文より二回り大きい活字で2行取り3字下げ。
 六十二版は6頁から本文、6頁のみ冒頭1行空けてから章見出し。改版初版は6頁(頁付なし)は白紙で7頁から本文、7頁のみ冒頭の章見出しの前にさらに4行空白(併載の2作品も同じ)。以下、六十二版は前後1行空白の3行取りで章見出しを示すが、改版初版は章見出しが頁の1行めに来るときを除いて、さらに前に1行分空白を取っている。
 六十二版の挿絵は9・19・29・41・53・63・73・85・95・109頁の全10図。
 以下、章見出しの位置を並べて置く。また必要に応じて本文末の位置を示した。
「理科教室の黒い影」六十二版6頁1行め→改版初版7頁1行め(〜11頁13行め)
「ラベンダーのかおり」六十二版11頁7行め→改版初版12頁1行め
「地鳴りと振動」六十二版17頁4行め→改版初版18頁5行め
「夢と現実のあいだ」六十二版23頁3行め→改版初版23頁12行め
「きのうやった問題」六十二版26頁12行め→改版初版27頁10行め
「くるった火曜日」六十二版31頁14行め→改版初版32頁3行め
「今夜まで待て!」六十二版37頁6行め→改版初版38頁6行め(〜42頁15行め)
「パジャマを着ていた」六十二版42頁12行め→改版初版43頁1行め
「そのとき暴走トラックが……」六十二版47頁11行め→改版初版48頁5行め
「見つけた“相談相手”」六十二版51頁11行め→改版初版52頁13行め
「時間を跳躍すること」六十二版56頁14行め(〜60頁16行め)→改版初版57頁6行め(〜61頁16行め)
「四日前のあの現場へ」六十二版61頁1行め→改版初版62頁1行め*2
「夜さまよう町かど」六十二版66頁14行め→改版初版67頁6行め
「きのうへの旅、おとといへの旅」六十二版70頁13行め→改版初版71頁9行め(〜75頁14行め)
「ふたたび現場にきた」六十二版75頁11行め→改版初版76頁1行め
「侵入者はだれか?」六十二版79頁13行め→改版初版80頁7行め
「未来からきた少年」六十二版84頁3行め→改版初版85頁6行め
「西暦二六六〇年」六十二版89頁10行め→改版初版90頁2行め
「意外な告白」六十二版93頁13行め→改版初版94頁12行め
「未来人・現代人」六十二版98頁6行め→改版初版98頁12行め
「その名はケン・ソゴル」六十二版102頁13行め(〜105頁17行め)→改版初版103頁11行め
「消された記憶」六十二版106頁1行め→改版初版107頁6行め
「いつか会う人」六十二版111頁7行め(~114頁14行め)→改版初版112頁2行め(〜115頁12行め)
 長くなったので併載の2作品については次回に回す。(以下続稿)

*1:「文彩」にルビ「フイギユール」、漢数字は半角。

*2:ここは章見出しの前に1行空白あり。