・ギンティ小林『新耳袋大逆転』
それでは、基本文献たる『直撃現代百物語 新耳袋大逆転』とその文庫版『新耳袋殴り込み 第二夜』の、この人物に関する記述について、その位置を確認して置きましょう。書影は2月6日付（１）に貼付しました。
さて、単行本・文庫版とも第九十九話まであるのは同じですが、文庫版の第九十六話〜第九十九話（325〜339頁）は「ボーナストラック」なので、やはり単行本から引き継いだ部分も構成の変更がなされていることになります。
扉は単行本は赤い遊紙の次にアート紙で前付、文庫版は1頁（頁付なし）。
単行本1頁（頁付なし）には、
「科学は万能ではない。絶えず訂正されていく仮説である」
――『直撃！地獄拳』より――
本書を故・石井輝男監督に捧げる
とあるが文庫版3頁（頁付なし）は引用と典拠の2行だけで、3行めの献辞は8頁（頁付なし）下部にあります。
・単行本2〜7頁（頁付なし）文庫版4〜7頁（頁付なし）「目次」
・単行本8〜45頁「第一章 『新耳袋殴り込み』にまつわる十三の話」
→文庫版9〜34頁「第一章 『新耳袋殴り込み』にまつわる九の話」
・単行本46〜83頁「第二章 幽霊が跋扈する高校についての十三の話」
→文庫版35〜72頁「第二章 幽霊が跋扈する高校についての十三の話」
・単行本84〜107頁「第三章 三本足のサリーちゃんにまつわる六つの話」
→文庫版73〜97頁「第三章 三本足のサリーちゃんにまつわる六つの話」
・単行本108〜177頁「第四章 関西心霊ツアーをめぐる十九の話」
→文庫版99〜171頁「第四章 関西心霊ツアーをめぐる十九の話」
・単行本178〜251頁「第五章 山の牧場に再チャレンジする二十五の話」
→文庫版173〜249頁「第五章 山の牧場に再び挑戦する二十五の話」
・単行本252〜318頁「第六章 四国・九州進攻作戦に関する二十三の話」
→文庫版251〜323頁「第六章 四国・九州侵攻作戦に関する二十三の話」
単行本319頁「亜斗牙鬼」に当たる文章は文庫版340〜341頁「謝辞」。
文庫版341頁の裏、奥付の前の頁、下部中央に縦組みで、
本書は二〇〇八年九月に洋泉社より刊行された『直撃現代百物語 新／耳袋大逆転』を加筆・修正し、文庫化したものです。
とあります。
第三章の細目を眺めて見ましょう*1。
まず、章見出しと前置きが単行本84頁・文庫版73頁にゴシック体で入っています。単行本85頁（頁付なし）にはヒロモト森一（1966.1.3生）によるイラストがあります。松葉杖・片脚でカーディガンを羽織り、首にはセーラー服のスカーフとは別にスカーフらしきものを巻き、白い無表情のお面にオカッパの金髪鬘、横幅はある方ですが背が低くて少女のように見えます。スポットライトを浴びて立つ彼女（？）の周囲に、顔を引きつらせた人々が立っています。右手前には「四中」という名札を右胸に縫い付けた詰襟学生服を来た小林氏（額に「Ｇ」）が描かれています。文庫版にはこのイラストは収録されていません。
・単行本86〜88頁「第二十七話 サリーちゃんとの出会い」
→文庫版74〜76頁7行め「第二十三話 サリーちゃんとの出会い」
・単行本89〜90頁「第二十八話 週刊誌」
→文庫版〜78頁11行め「第二十四話 週刊誌」
・単行本91〜92頁「第二十九話 蘇る都市伝説」
→文庫版〜80頁9行め「第二十五話 蘇る都市伝説」
・単行本93〜97頁「第三十話 『不思議ナックルズ』からの依頼」
→文庫版〜86頁6行め「第二十六話 『不思議ナックルズ』からの依頼」
・単行本98〜102頁「第三十一話 町田のサリーちゃん 後日譚その一」
→文庫版〜92頁2行め「第二十七話 町田のサリーちゃん 後日譚その一」
・単行本103〜107頁「第三十二話 サリーちゃんの名前 後日譚その二」
→文庫版〜97頁「第二十八話 サリーちゃんの名前 後日譚その二」
文庫版の「ボーナストラック」は全てサリーちゃん関係である。
・文庫版325頁2行め〜327頁「第九十六話 その後の三本足のサリーちゃん その一 電車の怪人」
・文庫版328〜331頁8行め「第九十七話 その後の三本足のサリーちゃん その二 再びサリーちゃんを探す」
・文庫版〜336頁7行め「第九十八話 その後の三本足のサリーちゃん その三 あたち」
・文庫版〜339頁「第九十九話 手紙」
では、次回から小林氏がこの人物についての情報を発掘していく過程を眺めて行くこととしましょう。（以下続稿）
*1:【3月1日追記】単行本の「第二十八話」と「第二十九話」が文庫版と同じ数字になっていたのを修正した。
